人口ひとりあたりの焼鳥屋の数が最も多い国、博多。その中でも特に人気を誇るのが「かわ屋」。「博多のかわ焼きを明太子のように広めたい」と、博多の鳥皮文化を広めた功績店であり、食べログでは百名店にも選出されています。
カウンター席が7~8席にテーブルと座敷がいくつかと、20席かそこらの店なのですが、座席数以上の活気を感じさせる賑やかさ。我々は数週間前に予約をしてから訪れましたが、当日にもひっきりなしに電話が鳴り続け、そのたびに店員さんが困り顔で対応を続けます。物凄まじい人気っぷり。
飲み物はいずれも500円かそこらです。飲み物と同時に「皮は何本でぃ?」と、いきなり鳥皮の注文本数を尋ねられます。しっかりと予習をしてきた私は涼しい顔で「10本で」と回答。そう、当店は「かわ屋」であり、10本や20本単位での注文などはザラなのです。
お通しという位置づけなのでしょうか、ひとり1皿の大皿が配膳され、その上にたっぷりのキャベツが盛られます。そのまま食べても良し、卓上のタレをかけても良し。さっそく「かわ焼き」がやってきました。1本120円。こちらの鳥皮は首の周りの皮を用いており、余分な脂や血合いなどを取り除いたのち、焼き・タレ漬け・寝かしの工程を6日間も繰り返すそうです。表面はカリっと、噛みしだくほどにモチっとした食感を楽しむことができ、なるほどこれは唯一無二の鳥皮でしょう。
酢モツ。中々の山盛りサイズですが、これで1杯300円。東京のふざけた博多風料理店は半分の量で倍の金額を請求することを考えると大変良心的と言えるでしょう。注文した串焼きがジャンジャン届きます。砂ずりにバラ。博多では豚バラの串焼きを出すお店が多いですが、当店は鶏のバラ肉。豊かな脂を感じつつもどこかサッパリとした余韻。いずれも1本120円であり、気兼ねなくパクつくことができます。
きも。いわゆるレバーの部分であり、流行のレアレアのものとは異なりバリっと火を入れザラっとした舌ざわりが特徴的。とり身。これはモモの部分なのかなあ。オーソドックスな味わいであり、郷愁を呼ぶ味覚です。
豚足。他の串に比べるとかなり時間をかけて焼かれたひと品。表面はガリガリと食感であり、その先はまさにコラーゲンといった歯ざわりであり、ある意味でお餅のような噛み応え。
お会計はひとりあたり1,500円。ホテルのラウンジで軽く飲んできたことを差し引いたとしても安い。フードファイターが本気で飲み食いしたとしても5千円を超えることはないでしょう。店員さんの雰囲気も良く、人気店だからといってちょづくことなく、とても感じが良い。
旅行者にとって博多名物と言えばラーメン・もつ鍋・水炊きあたりが中心になるでしょうが、二度目の博多であれば是非とも「かわ焼き」を組み込んでみましょう。楽しいよん。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。