目黒駅から徒歩10分強、権之助坂を下って橋を渡った先にある老舗のラーメン屋「支那そば 勝丸(しなそば かつまる)」。TVチャンピオンへの出演や新横浜ラーメン博物館への出店など、2000年頃に一時代を築いたお店です。
店内は厨房に面したカウンター席にテーブル席がいくつか。レトロなポスターやオモチャがたくさんディスプレイされているのですが、全般的に清潔感に欠けるインテリアです。
もともと当店は1972年に屋台から始まり、1984年に白金、1991年に目黒へと転戦し、新横浜ラーメン博物館や名古屋、浜松へも支店を出し、カップ麺まで発売されたことも。
ランチメニューのラーメンとチャーシュード丼のセットを注文しました。980円です。でもあれ?当店の営業時間って11~15時じゃなかったっけ?それでいてランチメニュー?ちなみに他のゲストのオーダーに耳を澄ましていると、セットというよりも単品または単品に大盛りを注文している方が多かったです。醤油ラーメン。おおー、絵にかいたようなラーメンであり、王道中の王道の外観です。黒味がかったスープは醤油に魚介が主体。今風の毒々しい豚骨スープとは一線を画し、躊躇うことなく完飲できる淡麗でクリアなスープです。刻みネギが大量にぶち込まれているのがネギ好きには嬉しい。
麺が変わっていて、細いのですが平たくて、びっくりするほど縮れています。カップヌードルの麺のような波打ちっぷりであり、スープに良く絡みクセになる味わいです。
チャーシュー丼がボリューム満点。チャーシュー・煮卵・ライスそれぞれ目立った味覚ではありませんが、先のラーメンに付帯して千円でお釣りが来ることを考えれば実にお値打ち。やはりネギが大量にぶち込まれており、ネギ好きには堪らないひと時です。オープンしたばかりの新横浜ラーメン博物館での行列をリアルに体感した身としては、現在のオワコンニュアンスを寂しく感じてしまいました。しかしながら、事前知識なしに素直に入店した若いゲストにとっては、このクラシックな仕様はある種の新鮮味すら感じるのではなかろうか。昭和生まれは郷愁に浸りに、平成生まれは古典を楽しみにどうぞ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。