鮨料理 一高(いちたか)/大濠公園(福岡)

大濠公園駅から徒歩5分ほどの距離にある「鮨料理 一高」。宮崎で一番の鮨屋「一心鮨光洋(いっしんずしこうよう)」の長男が福岡に開業したお店です。
店内は7~8席ほどのカウンターが2部屋。大将は両方の部屋を行ったり来たりしつつ、その他のスタッフたちが場面でヘルプにつくというフォーメーションです。

木宮一洋シェフは既に述べた通り宮崎で一番の鮨屋「一心鮨光洋(いっしんずしこうよう)」の長男。オーストラリアやシンガポールで生活した経験もあるそうで、客とベラベラ喋る系の職人なのですが、ノーマスクなのが時節柄、気になりました。
酒の値付けは結構高く(QRコードからネットにアクセス)、ビールが1,320円に日本酒もグラスで1,100円。シャンパーニュに至ってはグラスで4,400円~という値付けです。加えてこれらは税別の価格であり、ここから更に10%が乗って来ます。こういった消費者の誤認を誘う価格表記は感心しませんね。ちなみにお会計でやっぱりモメました(後述)。
気を取り直してアミューズに餅ぎんなん。その名のとおりモチモチした食感が特長的で、表面に塗されたカラスミが程よいアクセント。
当店はにぎりだけでなく日本料理的なツマミも大切にしているそうで、序盤はツマミが続くのですが、それでもガリは最初から出してくれます。シャクシャクとした歯ざわりが残る私のタイプです。
酢牡蠣。さっぱりとした酸に海のミルクの甘いコク。
サッパリとした料理、続く。ヒラメは煎り酒にて頂きます。
サバはバリっと炭火で炙ってカラシ醤油で。皮目の香ばしいかおりにジューシーな脂が美味。
スッポン・フカヒレ・マツタケを春巻きに詰め高温で揚げつつ、仕上げにカラスミをバババと振りかける。これはもう反則技で、どうやったって美味しいひと皿でした。
アマダイはにゅうめんで。天然のマイタケがスープに深みを与えます。
にぎりに入ります。まずはマグロ。正統的な味わいでありヒヤリとした酸味が心地よい。
トロになるとさすがに脂が厚くなり、官能的な気配が漂い始めました。
シメサバはおっとりとした締め具合であり、トロリとした舌触りが特長的。
アマダイは昆布締めで。全体を通して何とも優しい味わいの鮨です。
ホッキ貝。ところで大将はあまり鮨のことが好きではないのか、料理の説明は熱心にするのに、にぎりについては特に解説もなく無言でポイと置いていく姿勢が気になりました。毎度毎度「このタネは何ですか?」と聞くのも面倒である。
アラ。九州ならではのタネで清らかな味わいです。
アワビと毛ガニの蒸し寿司。厚くダイスカットされたアワビに毛ガニの餡をドロリ。わかり易い味覚であり日本人であればみんな大好きな味わいです。
サワラは、おお、これがサワラなのかとびっくりするタッチであり、しっとりとした食感ならびに風味です。小泉進次郎に感想を求めれば間違いなく「セクシー」と答えるでしょう。
ウニの海苔巻き。インスタ全盛の昨今は、ウニを盛りに盛って手渡し!みたいなお店がほとんどですが、当店のように潔く細巻きにしてしまうのは斬新。こちらのほうが味わいにきちんと向き合うことができるので良いかもしれません。
大振りの車エビはお出汁で炊かれているのかな?海老の甘味の他にも程よい旨味が感じられ
美味しかった。
他方、お椀は凡庸です。もうちょっと魚介を前面に出したテンションの高い味覚のほうが私は好き。
穴子はフンワリと柔らかく仕上がっており、濃密なツメと共に折り目正しいフィニッシュです。
追加でいくらか貰おうと思ったのですが、それほど遅い時間でもないのにバタバタと後片付けが始まってしまいお願いできなかったのが残念。ナシ、とはそういった含意もあったのかもしれません。
お会計につき、それほど飲まなかったのに40,000円と思いのほか高い。フセン1枚に記された「40,000円」という丸い数字にも不信感を抱き明細の提出を求めると、なんと最後に自動的に出された「あがり(お茶)」に1杯千円も課金されていました。鮨屋で「り」の付くモノ(ガリ・シャリ・アガリ)は請求しないという鉄則とは何だったのか。また既に述べた通り消費税の付け方もやっぱり変で、例えば「ひでじビール」は1,200円→1,320円→さらに別途消費税10%という謎課金であり、消費税が二重に計上されているように見えます。

お会計をしてくれた若いニイチャンに「本気でアガリに1杯千円を請求するつもりか?」と問いかけると、絵にかいたような苦笑いを浮かべるので、恐らく彼自身も納得がいっていないのでしょう。それではと女将に声をかけ、「本気でアガリに1杯千円を請求するつもりか?」と問いかけると、「ウチではずっとそうさせて頂いてます(キリ」と毅然とした態度です。
埒がが明かないと大将を呼び出してもらい、再び「本気でアガリに1杯千円を請求するつもりか?」と問いかけると、「ウチのお茶はオーガニックなんで、サービス料としての意味合いがあります」と、謎理論を展開します。そもそも俺は一休からサービス料を含んだプランで予約してるっつーの。

すると、「ご納得頂けないのであれば、アガリ代を返金させて頂きます」と、2,200円が返ってきました。ほほう、そこはスっと返金するんだ。だとしたら何なのこの何も言われなければワンチャン千円取ったれ感。
ちなみに連れは「あの大将、絶対逃げてたよね。あんなトラブル対応を下っ端とか女将に任せるのはありえない。総責任者なんだから、呼び出されるまで隠れてるんじゃなくて、真っ先に飛び出して矢面に立つべきでしょ」と、私とはまた違った視点で憤慨していました。
大将は色んなメディアで「稼ぎ方」を語り(画像は https://www.kiwamino.com/articles/interviews/12101 より)、「一高鮨大学」を謳って鮨職人育成プロジェクトなどにも取り組んでいるようですが(有料)、こんなセコい稼ぎ方をしたくて鮨職人になったのかね。ガッカリだ。


<追記①>
当店の女将と名乗る人物から電話がありました(画像はgoogleの留守電テキスト書き起こしサービス)。「こちら側のミスが判明いたしました」とは、消費税の二重計上疑いのことでしょうか。普段はお会計をフセン一枚総額方式で済ましており、明細を客に渡すことが無いため、「あ!明細渡しちゃった!バレちゃう!」と、慌てて電話してきたのかもしれません。天網恢恢疎にして漏らさず。税務署の方こっちです。

面倒なので私からは折り返しなどせず放っておいたのですが、「またのちょうど(また後程)こちらからもお電話をさせて頂きます」とあるのに、その後の音沙汰はありません。鮨屋以前に社会人としてダメダメダメダメぜんぜんダメ。恥の上塗りである。

ちなみに連れは「また女将に電話させてる!こういうのは総責任者である大将が対応すべきなんじゃないの!?」と、私とはまた違った視点で再び憤慨していました。


<追記②>
本件が「弁護士ドットコム」でも取り上げられ、木宮一洋シェフのインタビュー内容が以下の通り記されていました。
「寿司屋でお茶がタダというのは変えたいと思っている」と話し、あがり代の請求は店としての方針だという。
なるほどやはり本気の真顔であがり代は請求するようです。もちろんあがりに値段を付けるかどうかはお店の自由ですが、私のケースの場合、私は自分から「お茶ください」などとは申し出ておらず、食事の終盤に女性従業員が無言で勝手に置いていっただけで、それに対してダマで請求というのは社会人として如何なものでしょうか。

ちなみに記事内で上田孝治弁護士は
店側が「あがり」に代金が発生することを事前に説明していたり、メニューなどへわかりやすく表示していたなどといった特段の事情がないのであれば、「あがり」の代金を支払うという合意は成立していないと考えられますので、「あがり」の代金を支払う必要はありません。
と述べていました。

いずれにせよ、「寿司屋でお茶がタダというのは変えたいと思っている」というのは鮨業界において革命的なポリシーなので、是非とも頑張って頂きたいところ。エスカレーターの左右すら統一できないこの世の中で、果たして大将はあがりを請求し続けられるのか。木宮一洋シェフの運命やいかに!

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。