「里山十帖」の自遊人・岩佐十良が著書の中で取り上げていた岩室温泉の旅館「ゆもとや」。老舗の温泉旅館がリノベーションしてイケてるようになった系らしいです。岩室温泉という、東京からはアクセスの良くない地域ですが、時季によっては日本橋から直通バスが出ています。
トラディショナルなロビーに、どーんと広いラウンジ。確かに綺麗にお化粧はしていますが、どことなく漂う前時代感。ソフトドリンクなどは自由に飲んで良いのですが、空港のカード会社のラウンジクオリティでした。また家族連れが多いためか、妙にメロンソーダを飲んでいる子供が多かった。
布団は苦手なのでベッドの部屋を所望したのですが、本当に畳の部屋にベッドを置いただけであり、小学校の近所の友達の家に遊びに来たような雰囲気です。壁がサランラップのように薄く、隣室のテレビの音や話し声まで丸聞こえでした。
ネット環境は悪く、オンライン会議などはまず無理で、素朴な動画ですら見づらいスピード感です。私は早々に諦め普通のケータイ電波で通しました。
水回りは清掃が行き届いておらず、全体的に不潔です。
ドライヤーの背面が割れていたので、発火しないか気が気じゃありません。
冷蔵庫の飲み物は当然に有料で、オールドスクールな仕様に苦笑い。モーター音もうるさい。そうそう、うるさいと言えば部屋の位置が悪かったのか、小一時間おきに温泉のボイラーかエレベーターか空調か何かは知らない轟音が鳴り響き、全然眠れませんでした。
テレビや電話も古く、セーフティーボックスの傷み方など戦前から使用しているかのような外観です。
温泉は水道水ではないかと思うほど香りは無く澄み渡っており、また、ガキどもが区民プールかのごとく大はしゃぎしているので、癒されるどころかストレスが増しました(写真は公式ウェブサイトより)。朝食付きだったので少し覗いてみたのですが、ビジネスホテルの朝食ビュッフェと変わらない品揃えであり、皆、給食のように無表情に召し上がっています。この本の中では随分と魅力的に語られていましたが、改めて著者にこの旅館の美点とは何なのかの説明を求めたいところです。あの素晴らしい「里山十帖」と同じテンションで語らないで欲しい。リノベーションなどは幻想であり、メロンソーダをガブ飲みする層が団体で訪れる安宿としか私の目には映りませんでした。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。