東山にあるミシュラン1ツ星「鮨 みつ川」のセカンドライン「歴々」が金沢駅ナカの土産物売り場に出店していました。あくまで観光客向けのお店ではありますが、食べログでは百名店に選出されています。
L字型のカウンター席にテーブル席がいくつか。各席はアクリルボードで仕切られており感染症対策も万全。ネット上の口コミには客あしらいについての酷評が散見されますが、私がお邪魔した限りでは普通に感じの良い鮨屋という印象でした。
私は「料理長厳選おまかせ握り」を注文。握り12貫+のどぐろ手巻き+汁物で5,720円です。まずはナメラ。健康的な歯ごたえが心地よく、それでいて脂も旨味も感じられます。
カツオはベーシックな味わい。もう少し厚みのあるスライスのほうが私好み。また、写真を撮り忘れましたが、ナメラとカツオの間にカジキのヅケとバイガイも出ていました。白エビをにぎりで。清澄な甘さに心地よい舌ざわり。
トロはイマイチ。とにかくスジが多くザクザクとした食感で、牛のホルモンを食べているような気分です。
コハダは王道な味わい。ところで隣の観光客のオバチャンが「光り物はダメなの」とNGを伝えつつも「ただしアジ・サバ・コハダ・サンマはOK」というややこしい条件付けがあり、店じゅうが精神的に「全部いけるやないかい!」とツッコミを入れていました心の中で。ボタンエビ。高級店で食べるタネに比べると小ぶりで見劣りしますが、予約ナシのファストフードとしては最高品質と言えるでしょう。
イカにウニをトッピング。イカは美味しいのですが、ウニに独特の臭みがあり、こちらについては超別々に食べたかった。
イクラは悲しくなるほど小ぶりです。まあ、予算を考えればこのあたりが限界かもしれません。
対してクロムツはかなりのサイズ。程よく火が入っており、ややもするとレアに仕上げた焼魚定食のような印象です。
煮蛤が美味しい。仕込みもサイズも申し分なく、客単価数万円の店で出るそれに比肩する味わいでした。
ノドグロの炙りの巻物。ウニ・イクラもそうですが、当店は高級食材がちょっとアレですね。もちろん仕入れが悪いというわけではなく、価格帯からは難しい試みであることはわかっていつつも、観光地の鮨屋として出さざるを得ない状況がそうさせるのでしょう。そういう意味で、セットメニューを選ぶ際には、高級食材にこだわることなくプレーンなものを注文するのが賢い戦略なのかもしれません。
お椀で〆てごちそうさまでした。同じ駅ナカの「金沢 まいもん寿司」は砂を噛むような食体験だったので、こういった観光客向けのお店は敬遠していたのですが、当店については中々の好印象。もちろん食べログ百名店とするには荷が重いですが、新幹線の前後にサクっと金沢っぽいメシを食う、という目的であれば悪くないチョイスです。
金沢駅チカ予約不要グルメ界においては「まっとう福喜寿司」の次にオススメです。お気軽にどうぞ。
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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
- すし匠/ワイキキ ←このお店の真価が問われるのは数十年後のはず。
- 照寿司(てるずし)/北九州 ←世界で最も有名な鮨職人。
- すし宮川/円山公園(札幌) ←人生でトップクラスに旨い鮨。
- 鮨さいとう/六本木一丁目 ←価格設定に色々と考えさせられる。
- 鮨 在(ざい)/広尾 ←これこれ、鮨とはこれですよ。
- 東麻布天本/赤羽橋 ←欅坂46のような鮨。
- 初音鮨(はつねすし)/蒲田 ←西の照寿司、東の初音鮨。
- 鮨 猪股(いのまた)/川口 ←にぎりのみの男前鮨を喰らえっ!
- 鮨舳/瓦町(高松) ←真っ当な江戸前。銀座の半額で何度でも通いたい。
- 天寿し/小倉 ←何度でも行きたいし、誰にでもオススメできるお店。
- 鮨 一幸(いっこう)/すすきの ←真摯に鮨に取り組む好青年。
- 鮨処木はら(すしどころきはら)/函館 ←鮨屋の答えは函館にあったのです。
- 鮨 十兵衛/福井市 ←福井への旅行が決まれば最初に予約したいお店。
- 鮨 大門/魚津(富山) ←東京の鮨はもうオワコン。
- 小松弥助/金沢(石川) ←「まごころでにぎる」を体現する鮨屋。
- 乙女寿司(おとめずし)/片町(金沢) ←私的北陸一番鮨。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。