ジャルダン ポール・ボキューズ/香林坊(金沢)

旧県庁舎跡地にできた「しいのき迎賓館」にデーンと入居する「ジャルダン ポール・ボキューズ」。かの有名な「Paul Bocuse(ポール・ボキューズ)」の日本支店であり、ひらまつがライセンス契約で日本に引っ張ってきたフランス料理店です。私はリヨン郊外の本店にお邪魔したことがあるのが密かな自慢なのですが、風雲たけし城のような総本山に比べると当店は決定的にオシャレです。
わおー、なんて素敵な内装なのでしょう。眼前に広がるのは金沢城とその周囲の公園で、壁一面がガラス張りのため空調のきいたガーデンパーティに参加しているかのようです。バンケットにも対応しているそうで、ここで結婚披露宴なんかできたら最高だろうなあ。
マンボウ中なのでアルコールはNG。せっかくなのでノンアルコールのペアリングをお願いしましたが、やはり限界がありますね。甘くてお腹いっぱいになる。こればっかしはお店や飲料のせいではなく、全ては為政者の責任であり、ひいては彼らに仕切りをアウトソースした我々の責任である。
アミューズが凝ってます。始まりのちょっとした一口にホカホカのスープが出てくるのはお店の美食に対する姿勢の表れでしょう。
七尾産の穴子にフォアグラ、能登の白ナス。フランスの食材と北陸の食材を掛け合わせる秩序の破壊とも言うべきひと皿ですが、ソースポルトの主張が強く、きちんとフランス料理しているのが面白い。
パンは2種で、それぞれ素朴な味わいですが、基本ソースがしっかりした料理が続くので、皿を拭って食べるにちょうど良い。バターはボルディエのものであり、ホイップバター好きのひらまつで固形のバターがデーンと出るのは珍しいかもしれません。
お魚料理はサーモンにオマール海老と最強タッグ。シャンパーニュを用いてたっぷり蒸し煮しており、ソースには甲殻類の風味がバリバリ。100人が食べて120人が美味しいと感想を述べる料理でしょう。ああ、ワインと一緒に食べたかったな。
メインは鹿のロース肉。藁焼きの香りづけがきいていて食欲をそそるのですが、ちょっと量が小さいかなあ。焼肉屋であれば2口。他方、付け合わせの盛りが美しいですねえ。アシェットデセールと見紛うほどの精緻なプレゼンテーションに舌を巻く。
デザートはクレームダンジュに酒粕のアイスクリーム。悪くはないのですが、ぜんぶ色が白くてメリハリが無く、ボヤっとした味覚が続き食べ飽きてしまいます。メインの付け合わせの彩りをコチラで発揮して欲しかった。
小菓子はレベルが高い。とりわけ加賀棒茶で風味付けしたユニークなショコラが心に残りました。
色々書きましたが、お食事のコースだけだと1万円ぐらいであり、しっかりとしたフランス料理にこのロケーション、完璧な接客を考えれば実にリーズナブル。キメのデートにも接待にも親族の食事会にも何にでも使えるでしょう。次回は是非ワインと共に。疫病騒ぎが落ち着いたら改めてお邪魔したいと思います。

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