富山県第2の都市である高岡市。400年余りの歴史を持つ街であり、伝統工芸や祭礼・歴史的建造物が数多く継承されています。「茶寮 和香(さりょう にこか)」は格子造りの家々と石畳の調和が美しい金屋町に2015年開業。
鋳物商店だった建物をリノベ。当初は和カフェとしての営業だったそうですが、ランチとして出していた日本料理の評判が評判を呼び、現在は本格的な日本料理店として専業に。ミシュラン1ツ星までゲットです。
先付は紅ズワイガニにバリっと炙ったマイタケ。マイタケの香りが良く、ポン酢のジュレの味覚も鮮烈で、思わずハっとするスタートです。
お造りはナメラにサワラ、シロザス。ゴリゴリとマッチョなナメラは噛みしめるほどに旨く、炙ったサワラの皮目の香り、シロザスから感じるふくよかな昆布の香り。いずれも氷見産であり、5千円のランチコースとしては驚きのクオリティです。
チンチンに熱された鍋にはマツタケと氷見牛。どひゃー、5千円のランチコースでここまでしてもらって大丈夫でしょうか。立ち上る松茸の香りと甘めのスープが良く合う。たっぷりの野菜と牛の脂の旨味も程よくマッチします。
八寸はギュっと詰まった盛り付けで、フェミニンで可愛らしいプレゼンテーションです。味についても異論はなく、甘い甘いノドグロ鮨や舌先でとろける煮タコなどが強く心に残りました。能登フグのおかき揚げにサツマイモ。衣の風味が強く、仄かな暴力性を感じる味わいでビールが欲しくなる。フグとは関西風の食べ方だけではないのだ。
お食事はカマスの幽庵焼き定食。なんと尊い組み合わせ、ならびにボリューム感。
カマスの幽庵焼きにつき、シェフは「オカズ」と称していましたが、もはや完全に主役級のクオリティ。カマスの深長な味わいに凝縮されたソースの旨味が白米に良く合う。デザートも付きます。黒糖プリンに白玉あずきと王道の組み合わせ。冒頭に記した通り当初は和カフェだったとのことですが、いやいやいやいや単なるカフェで食べる甘味としてはクオリティ高杉でしょう。
お会計はひとりあたり5,500円と、ちょっと信じられない価格設定です。1万円でもいい、全然いい。お金の話はさておき、地元の食材を多用しキッチリとした日本料理に仕上げる手腕もお見事。盛り込みは女性的な可愛らしさですが、調味は意外にしっかりしており、お酒と合わせても良いでしょう。
瑞龍寺、高岡大仏、それらを取り囲む古き良き街並みと、高岡は意外に見どころが多い街なので、金沢一辺倒の北陸旅行からは脱却し、当店を含めた高岡ルートも是非どうぞ。
関連記事
富山は食の宝庫。天然の生け簀である富山湾にジビエや山菜が豊富な山々、そして米と水。レストランのレベルは非常に高く、支払金額は東京の3割引~半額の印象です。だいぶ調子に乗ってきた金沢が嫌な方は是非とも富山に。
- 鮨 大門 ←銀座の半額で味と居心地の良さはそれ以上。
- ふじ居(ふじい) ←非の打ち所がない日本料理店。
- ひまわり食堂 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
- ランソレイエ(Lensoleiller) ←フランスの田舎のレストランをそのまま持ってきたような感性。
- カーヴ ユノキ(Cave Yunoki) ←料理のほとんどを富山の食材で勝負しているのが素晴らしい。
- 日本料理 山崎 ←ミシュラン3ツ星和食がこの価格で楽しめるのは富山の奇跡。
- 鮨人 ←富山で一番人気のある鮨屋。
- 天ぷら小泉 たかの ←富山駅から近く昼も夜も空いているのが旅行者にとっても便利。
- KAWAZ(カワズ) ←「レヴォ(L'evo)」でスーシェフだったムッシュ川崎淳が富山市内で開業。
- レヴォ(L'evo) ←クマがぶらさがっている。
- パティスリー ジラフ(PATISSERIE LA GIRAFE) ←サロショを席巻する予感。