金沢駅から歩いて20分ほどの場所にある「金沢市中央卸売市場」。近江町市場とはベクトルが全く異なり、一般人入場お断りのプロ向け市場ですが、場外の飲食店は素人でも利用することができます。
その中でもダントツの人気を誇るのが「魚がし食堂 中央市場店」。水産卸会社が運営する海鮮居酒屋であり、ランチタイムには近隣住民や勤め人たちが行列を作ります。ちなみに東力(地名)にも姉妹店があって、そちらは駐車場があってマイカーでも余裕だそうです。私は「お刺身とのど黒定食」をオーダーしたのですが、少し時間がかかるということなので、単品で「ガンドのレアカツ」も注文。500円です。ちなみに「ガンド」とはブリの一歩手前のサイズの北陸での呼称。揚げの技術はさておき、お魚そのものの質が抜群で、今後の展開に期待を抱かせます。
「お刺身とのど黒定食」が到着。なんなんだこの量は。てっきり刺身とノドグロだけが来るものだと思いきや、煮魚に天ぷら、小鉢が3種も付随します。海鮮丼については「樺太食堂」で免疫ができていたつもりでしたが、こういった多量多皿アクエリオンはまた違った衝撃があります。
まずはお刺身。切って出しただけの無骨なデザインですが、市場メシとはこうあるべき。都心のスーパーであればこれだけで680円ぐらいは要する質および量です。主題のノドグロ。もちろん高級店で食べるそれと比べると見劣りする部分はありますが、ノドグロはノドグロである。特有のジトジトとした脂が食欲を煽ります。
煮つけは何のお魚かなあ。その他の小鉢と含めて徐々に腹が膨れて来始め、序盤の「ガンドのレアカツ」はどう考えても過剰な注文であったと改悛する。
天ぷらも立ち食い蕎麦屋ほどのクオリティですが、海老天は海老天である。
待て待て待て待て。俺はライスの量は普通で注文しただろう。どう考えても1合近くあるぞ。それでも他の男性ゲストの殆どは大盛りでオーダーしており、日本昔ばなしのようなスタイルを楽しんでいました。もちろん大盛りでも追加料金はありません。
味噌汁も憎いことにしっかりとアラ汁であり、魚の旨味がたっぷり。見てくれこそはアレですが、ヘタな鮨屋のお椀なんかよりも全然美味しい。以上を食べ、お会計は2,700円。これは旅行者ならではの支払金額であり、両サイドのリーマンなどは刺盛りに煮魚・焼魚が付くという市場の横暴とも言うべき定食を千円かそこらで注文しており、これはもう、魚とは魚がし食堂であると評しても過言ではないでしょう。
近江町市場の海鮮丼をインスタでイキるのは情弱。金沢の魚の全ては「金沢市中央卸売市場」にるのです。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。