さっそく空港から車で10分ほどの場所にある「ますのすし本舗 源 ますのすしミュージアム」へ。ここ、ずっと来たかったのですが、富山市内からは微妙にアクセスが悪く車での来場が必須なのです。
館内には「ますのすし」300年の歴史につき、資料や動画を用いての紹介が。写真NGではありますが、ガラス張りの工場見学も可能であり、個体差のある魚や笹の葉がシステマティックに弁当化されていく様子を確認することができます。
平時であれば併設のレストランや「ますのすし」作りの体験コーナーなどもあるのですが、現在はコロナ的に休止中。
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花より団子。できたての「ますのすし」を求めましょう。即売コーナーが用意されており、プレーンな「ますのすし」はもちろん、ここでしか買えない限定品や富山の名産品などがラインナップされています。
せっかくなので「伝承館ますのすし」「特選ますのすし」「ますとぶり小箱」を爆買い。ちなみに、おなじみのパッケージの絵柄は中川一政画伯のものであり、曲物そのままで販売するスタイルが主流の時代に紙のパッケージでメッセージ性を打ち出した点で革新的な商品として取り上げられたそうです。
当館限定・季節限定・数量限定の「伝承館ますのすし」。プレーンな「ますのすし」が1,500円のところ、こちらは2,700円とダントツの価格設定です。モエ・エ・シャンドンで言うところのドンペリ的な存在です。売り子のおばちゃんは「おお!これをお買い求めになられるのですね!」とテンション爆発アゲの対応ですし、通りすがりの営業部長的なオジサンからは「おお!『伝承館ますのすし』を!ありがとうございます!」と声を掛けられたので、当社としても相当に気合の入った商品なのでしょう。
ひとくち食べて驚愕。旨いのである。あなたの知っている一般的な「ますのすし」の3倍ぐらい美味しい。マスには地元のサクラマスを用いており、旬の夏しか提供できないというレア感。肉厚で食べ応えがあり、ほどよく脂がのって実にジューシー。なるほど2,700円というのも納得の味わいであり、ややもすると割安に感じるかもしれません。
こちらは「ますのすし」と「ぶりのすし」がダブルで楽しめる「ますとぶり小箱」。950円です。ちなみにここでは「ぶりのすし」の他、ノドグロや焼サバ、海鮮の盛り合わせなど、こんなラインナップがあったんだと様々な気づきがあります。
こちらがプレーンな「ますのすし」。やはり「伝承館ますのすし」とは歴然とした違いを感じます。ちなみにプレーンなものはアイスランドや北海道のマスを用いているそうな。それでも米や水、ミツカンに特注した酢など要所要所は抑えたシャリであり、笹の葉の香りと相俟って深みのある味わいです。
こちらは特級部位を肉厚に用いた「特選ますのすし」。一本の鱒に少ししかない旨味が濃いとされる部位において、味・色・脂ののりなど全てクリアした身だけで作りあげており、なるほど旨い。一般的に特選やら限定やらを冠する食料品につき、「価格差ほどの違いはあるのか?」と疑問を抱くことが多いですが、こちらも「ますのすし」については明々白々な差分を感じます。
いち「ますのすし」ファンとしては充実したひと時でした。美味しさはもちろん、ここで働く従業員の皆さんの雰囲気も良いですね。工場内では防護服もかくやという徹底的な衛生管理がなされており、その場で脳外科手術でもできそうなほど清潔。ゲストと相対する方は穏やかな笑みを絶やさず色々と気が付く。料亭としては130年、駅弁業としては100年を刻む歴史は伊達ではありません。
100年もすればiPhoneは消えてなくなるでしょうが、「ますのすし」は100年でも200年でも、いつまでも生き続けることでしょう。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。