樺太食堂/ノシャップ岬(稚内)

極北の地、稚内。一般人にとって稚内とは桃鉄で次のゴール稚内かよダリィ、という印象の街ですが、ライダーやサイクリストにとってはまさに最終目的地。その稚内の市街地から車で10分ほどの距離にある「樺太食堂」はバイク乗りの間でも評判のお店です。営業しているのは夏季の朝から昼過ぎまでというのもレア感をそそります。
店内はに紅白の感想ノートが華やかに敷き詰められており選挙事務所さながら。テーブル席と小上がり席があり、家族連れもOK(幼児向けメニューあり)。母ひとり子ふとりのような地元客が多いのが微笑ましいです。
注文して数分で「うにだけうに丼」が着丼。4,950円です。「うにだけ」と言いながら、トッピングをイクラ・カニ・ホタテの中からひとつ選択することができ、こちらではイクラをチョイスしました。このイクラが決してオマケのクオリティではなく、プチプチとしっかりとした歯触りに濃密な海の香りと、トッピングとは思えぬ存在感を主張しています。
主題のウニは全て地元産のムラサキウニを使用。このあたりのムラサキウニは昆布を食べて育っており、甘味と旨味が口腔内に燎原之火の如く広がり、そのひとかけらひとかけらが安めぐみのように柔らかい。昨日の「海鮮丼 魚常」のウニ丼にも大満足でしたが、当店のそれはウニ丼業界のゲームチェンジャーと成り得る迫力があります。
お味噌汁も(恐らく利尻の)とろろ昆布が組み込まれており、磯の香りが強くウニまみれになった味蕾を再起動してくれます。
続いて「二段式生うに丼」は5,500円。メニューに記載された写真は真上から撮られていたためその高さまでは把握できませんでしたが、燎原之火を通り越してこれでは山火事ではないか。
見て下さい、この3D感覚を。まさに海鮮丼業界のラーメン二郎。この設計図が中国あたりの裏社会に流出すればあっという間に3Dプリンタで再現されてしまうので気を付けたいところです。
こちらはウニ・カニ・イクラの面。ウニ・イクラの解説は前述の通りである中、カニの塩味と旨味が思いのほか強く、この巨大な丼に醤油などの調理料を不要とさせるほどです。福井の「川㐂(かわき)」のようなハリウッドスターのようなカニも良いですが、漁師町の無名のカニも充分に旨い。
コチラはイカの面。イカそうめんを超え、やはり二郎のような極太の麺であり、イカだけで腹が膨れるのではないかと心配になるほどの贅沢な悩みを抱えてしまいます。
トビコの面。そのまま食べてもよし、ライスに飛び込ませて新手の混ぜご飯とするもよし。いずれにせよ、この超弩級の山を支える御殿場ルートのような玄人好みの味わいです。
おや、食べ進めていくうちにライスの中からウニが出てきました。この写真は一見グロですが私の食べ方が汚いわけではなく、スプーンでそっと切り開いた状態がもうこれなんです。つまりそれぐらい内部にもウニが敷き詰められているということ。そういえばこの丼のネーミングは「二段式生うに丼」だった忘れてた。
「うにだけうに丼」は4,950円、「二段式生うに丼」は5,500円と、価格だけを見ればかなりの値段のブランチですが、その量および質を考えれば寧ろ割安と言えるでしょう。函館の「うに むらかみ」などは反省するように。

特に「二段式生うに丼」は見た目以上の食べ応えがあり、一般的な成人男性が単独・無酸素で登頂するのはほぼ不可能。同伴者の丼のサイズを小さめにしてもらって、シェアしながら食べると良いかもしれません。もちろん極北の地にまでウニ丼を食べに来る奇特な方がミニサイズを注文するとも思えませんが。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:魚介・海鮮料理 | 稚内駅


人気の記事

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。