東経135°に位置するリゾート「グランシャリオ北斗七星135°」。いきなりお金の話をして恐縮ですが、我々の支払金額は1泊2食付きで124,872円と、淡路島としてはかなり強気の価格設定です。
なのですが、チェックイン時間にならないと意地でも敷地内(部屋でなく敷地内!)に立ち入らせないという謎運用のため、ニジゲンノモリという公園のテントで待機させられます。同じ時間に居合わせたチェックイン客全員がイラついている。1泊10万円を超えるリゾートでこんな扱いを受けるのは生まれて初めてです。
このままでは精神的に熱中症になるので、ゴジラのジップラインで時間を潰します。口を開けたゴジラの体内にジップラインで滑り込んで行く。なんて斬新な発想。
ちなみにこのアトラクションはストーリー構成から練られており、導入部の映像のキャストも豪華です(画像は東宝公式ウェブサイトより)。
さて約束の時間になり、テントまで車が迎えに来ました。ってかこの演出いる?ゲストの車で直接乗り付ければ良くない?
チェックインの段取りも無茶苦茶で、前日に長々と電話で確認してきた割に何も引き継がれておらず、都合3~4つのボーンヘッドがありました。また、ウェルカムスイーツと称しながら35℃を超える気候でくそ甘ったるい焦がしたキャラメルのプリンまで出してきやがって、客の置かれた状況をまるっきり理解していません。マニュアル一辺倒で想像力が欠落しています。
憤慨しながら部屋へとご案内。当リゾートでは全室が1棟独立型のコテージ形式。テラスを含めると部屋の広さはかなりのものです。
リビング。壁材はライトカラーの木目調であり採光も良く明るい雰囲気です。ただ、ハコは良いのですが、調度品に統一感がなく独特のセンスを感じました。まさに中途半端な個性は有害である。
ベッドルームの天井には窓があり、採光が良く星空が見えるのも良いのですが、明るさを遮る仕組みは何もないので、夏場は朝5時の日の出と共に強制的に起こされます。この演出を是と取るか非と取るかは貴方次第。また、マットレスが安物で、1泊124,872円の宿としては最弱の部類に入るでしょう。
お風呂はヒノキ風呂。温泉ではありませんがお湯を張るとフワリと薫る木の香りに癒されます。ただしアメニティにつき、私の経験では1泊5~6万円を超えるあたりからラグジュアリーブランドのものになることが多いのですが、当リゾートではビジネスホテルと大差なく、1泊124,872円の宿としては最弱の部類に入るでしょう。
ディナーの時間です。夕暮れと共に素敵な雰囲気。そう、立地とハコ、空間づくりは上手いんですよね。我々は屋内での食事としましたが、家族連れはテラス席でバーベキューをされているグループが殆どです。みんな楽しそう。
レストランでも謎対応は続く。ワインが1本付く予約プランであり、レストランに辿り着くまでに都合4回「白ワインと赤ワインのどちらになさいますか?」と聞かれていたのですが、ディナー時にも改めて聞かれました。あのさあ、最後の1回だけで良くない?加えてそのワインをテーブルにドンと置いてサーブは一切しないという手酌スタイル。おそらくレストランにまともなサービスマンはひとりも居ないのでしょう。
食事は「ハルヤマシタ」の山下春幸シェフが監修。まずはサクラマスとチーズの最中。お、夕食は初っ端から美味しいぞ。
続いて鯛。このあたりは鯛の産地であり、本場特有の漁法(?)として昼に獲ったばかりの鯛をディナーで出すという試み。なるほど小島瑠璃子のように元気いっぱいな味わいであり、ちょっとびっくりするほどの新鮮さでした。大根を耐熱ラップフィルムで調理します。美味しいですが、ちょっと大げさかなあ。何かの料理の付け合わせにサラっと出した方が通っぽくて良いと思いました。
フォアグラのフランは平飼い地鶏の卵を起用。なるほど卵黄の風味が強く、濃密にして濃厚です。
由良の赤ウニ。幻と評される希少かつ高価なウニであり、これをそのまま食べてもいいし、すき焼き(後述)の肉と共に食べても良いとのこと。流石に恐れ多いので、そのままプレーンなままで頂きました。
メインディッシュは「トマトすき焼き」。また企画モノを、と斜に構えて臨んだのですが、瀬戸内の山海の珍味オールスターズが気前よく詰め込まれており理屈抜きに旨い。
牛肉はもちろん淡路ビーフ。肉あり穴子あり玉ねぎありと、まさに淡路島を凝縮した味わいで美味しかった。語感ほどトマトの圧が強くないのも良かったかもしれません。
玄米も力強く美味しい。ちなみにすき焼きの鍋の中は野菜を中心とした出汁となり、甘辛いタレならびに温泉卵をつけ汁(?)にして具材を食べるという新しい試みでした。
わらび餅に淡路島ミルクのジェラートで〆。ごちそうさまでした。宿のオペレーションならびにサービスのレベルは酷いものですが、食事はテノヒラクルーな美味しさでした。
食後の運動を兼ねてニジゲンノモリのイベント「ナイトウォーク火の鳥」に参加。森に対してプロジェクションマッピングするなどコンセプトは悪くないのですが、キャストに照れがあるというかなんというか、中途半端な仕上がりでした。朝食がボリューム満点。小鉢の数が多く、また、でっぷりと太った鯛の塩焼きも美味しかった。
後半の料理の部で盛り返してくれたものの、やはり1泊124,872円というのは割高を通り越して高杉です。38,000円ぐらいが妥当でしょう。
くどいようですが、立地とハコ、空間づくりは上手いもののサービスのレベルが低すぎる。接したスタッフ皆がみな一発で話が通じず、使えない新入社員を相手にしている気分です。数日前にニセコのリッツで凄腕ホテルマンに出遭ったばかりなので、余計にギャップに苦しみました。
恐らく当リゾートには経験のあるホテルマンがひとりもおらず、「この対応はホテル業界一般論として変だ」と気付くことができないのでしょう。決して怠慢というわけではありませんが、とにかく経験浅く、ただただ知らない。もちろん1泊1万円のビジネスホテルなら私も口うるさいことは言いませんが、1泊10万円を超えると世界基準で見て最高のサービスが求められるということを覚悟すべきだと思いました。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。