ゆとりのあり、密とは程遠い座席配置。ビジターの利用も受け入れているのかなあ。こちらが心配になるほど贅沢な空間づかいでした。
前回お邪魔した際はペアリングで相当楽しませて頂きましたが、今回はグラス泡→ボトル白→グラス赤→グラス赤という試合運びに。ホテルのダイニングながら値付けは悪くありません。
アミューズが凝ってますねえ。旧レヴォと新レヴォで内容が丸かぶりだったため色々と心配したのですが、こちらはワタリガニ、白エビ、とうもろこし、赤万願寺唐辛子、鶏レバーと多彩な演出であり、いずれも泡がグイグイ進む魅力的なお口取りでした。トマト主体のひと皿。トマトの風味ひいては酸味が強い。連れは美味しい美味しい言うてましたが、わたし的には胃液っぽく感じてしまったため、そのあたりは人それぞれなのでしょう。
ボタンエビに白エビ、ケール、キュウリ。素材それぞれは美味しいのですが、ややこねくり回しすぎている嫌いがあり、もうちょっと素朴でいいのにな。アラにツルムラサキ。このお魚は美味しいですねえ。婀娜っぽい味覚にしっかりとした土台を感じるお出汁。ややもすると和食的な味わいです。
パンが美味しい。米粉のパンに始まり都合3種を頂いたのですが、いずれも素朴ながら深みのある味わいです。
青バイガイ。こちらは並外れて美味しいですねえ。バリっと炙られた貝の香りにジャクっとした歯ごたえ。お出汁にはムール貝やピーマンが用いられており、文句のつけようのない一品です。こればっかしは日本酒でも良かったかもしれません。メインはイノシシ。ぐわー、この料理にはやられました。ガガっと焼いただけのシンプルな調理ですが、兎にも角にも単刀直入に旨い。脂も焼き目も何もかも旨い。素晴らしい。記憶の全てを持っていかれました。
デザート1皿目は白桃に、、、何だろ。なんだかドロドロしててよくわかりません。続く梨のデザートもパっとせず、料理に比して甘味が貧弱と判断せざるを得ません。当館のカフェで普通にアントルメとか用意されているのに、この、ドロドロとした出で立ちは何を意図しているのだろう。
食後のお茶に小菓子などは付帯せず、テンサゲなままフィニッシュです。うーん、当店のシェフはあんまり甘いモノ好きじゃないんかな。随分とそっけない。デザートをオマケと考えている時点でフランス料理としてどうなんだろうと私は思うのだけれど。
とはいえお食事は1.5万円に酒が1万円で、3万円でお釣りが来る価格設定はリーズナブル。泡やタレが多く過剰な表現で技術を弄し過ぎるきらいはありますが、旅籠のメシと考えれば最高レベルに美味しいディナーです。ビジターでなく宿泊でどうぞ。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- 銀座 大石/銀座 ←自分が働くならこういう職場。
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)/西麻布 ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- ア・ニュ Shohei Shimono/広尾 ←リニューアルしてリベラルに、旨けりゃなんでもいいじゃん的に。
- ラフィナージュ(L'affinage)/銀座 ←王道中の王道。銀座とは考えられない値付け。
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも。
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理。
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人。
- アサヒナガストロノーム/日本橋 ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- エステール(ESTERRE)/大手町 ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。
- ル マルタン ペシュール(LE MARTIN PECHEUR)/吹上(名古屋) ←フランス料理という文化に対する並々ならぬ愛情を感じました。