和創作 太(わそうさく た)/目黒

目黒駅徒歩数分、権之助坂の怪しげな雑居ビル「メグロードビル」地下にある「和創作 太(わそうさく た)」。場末のスナックのようなエクステリアですが、食べログ百名店に選出される人気店です。
店内はキレイめの焼鳥屋といった風情(写真はポケットコンシェルジュ公式ページより)。テーブル席もありますが、厨房目の前のカウンター席が楽しいでしょう。

柴太一シェフは長い時間をフランス料理の世界で過ごした後、日本料理に転身。店名はもちろんシェフのお名前から。
禁酒法の時代に訪れたので飲料はノンアルコールのみ。それでも多種多様なカクテル(サワー?)が取りそろえられており、注ぐだけのビールや日本酒、ワインよりも余程大変そうです。
お料理はおまかせ1本勝負。まずはホワイトアスパラの豆腐(?)にグリーンアスパラのすり流し。トッピングにエビ、ウニ、キャビア、アスパラソバージュと、なるほどフレンチ出身という経歴に頷ける1品です。
前菜が豪華。10席強のお店でこれだけの種類の料理を用意する懐の深さに脱帽。いずれも手が込んでおり語り尽くせないドラマがある。酒を飲めないのが心から悔やまれます。
お造りは本マグロのヅケにカレイ、タイラガイにツブガイ。カレイの旨さが秀逸。コリコリとした食感にコッテリとした脂。ヒラメには無い旨さである。ツマもしっかりとフレッシュで、料理そのものにたいする愛情を感じました。
アナゴをゴボウでぐるぐる巻きにして揚げるという変わった料理。野性味あふれるゴボウの風味と良い意味で泥臭いアナゴの味わいが良く合います。付け合わせのトウモロコシのかき揚げも美味。
白和えはカシューナッツ体制。自家製のスモークサーモンの香りも良く、やはり酒が欲しくなる味わい。
メインは鴨。これはフランス料理・日本料理どちらでも勝負できる味わいです。醤油を馴染ませたミョウガも粋な味わい。赤ワインが欲しくなっちゃうわ。
〆のお食事は海鮮炊き込みご飯。これも炊き込みごはんというかパエリアというか、国境を超越した外向的な美味しさです。赤出汁も漬物もきちんと美味しい。
デザートはヨーグルト風味のブランマンジェに南方系の果物たち。いいなあ、こういう自由な芸風。

以上を食べ、コース料理は6,600円。どわー、これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。通常営業時に酒を嗜んだとしても1万円でお釣りが来る計算で、まさに万円防止。禁酒法が明けたらたっぷりのお酒と共に改めてお邪魔したいと思います。

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