2010年に閉校となった淡路市立野島小学校を活用した複合観光施設「のじまスコーラ」2階に位置する「リストランテ・スコーラ(ristorante scuola)」。地産地消マニアの奥田政行シェフがプロデュースするイタリアンレストランです。
店内は小学校とは思えないほど雰囲気のあるハコで、ビシっとクロスが張られ、きちんとレストランしています。一方で、ホールは学生のバイトが中心なのか、店や料理の格に比べるとサービスがぎこちない。もう少し自然体でレガートに接してくれると居心地が良いのだけれど。
また、対面で座る場合にアクリルボードを設置するのは時節柄理解できるのですが、それに覆いかぶさるようにピアノの生演奏が流れているので、連れとの会話にたいへん苦労しました。
運転があるのでノンアルコールのスパークリングワイン(?)で乾杯。ちなみに厨房を取り仕切っているのは淡路島出身の岡野満シェフで、大阪の名店で腕を重ねたのち渡仏。帰国後も関西の有名レストランで活躍し、「DRAGON CHEF2021」では兵庫県代表として腕を鳴らしました。
アミューズ。ちょっと不思議なプレゼンテーションですが、左上の鰻がマッチョな仕立てで美味しい。お口取りに鰻って贅沢やな。トウモロコシの冷製のフラン。大地の恵みを感じる立地な甘さ。ポップコーンをトッピングするあたりシャレがきいています。
今が旬のアコウ(キジハタ)。ムッチムチの食感ながらジトジトと脂が乗っておりゼロイチファミリアに所属レベルの美味しさです。調味は最小限に留め、素材の良さを前面に押し出しているのも好印象。
パスタは「雲丹と焼海苔バターのフェデリーニ」をチョイス。これはもう、本当にこれを選んで良かったと思わせてくれる味覚。ウニの美味しさは当然として、焼海苔バターが反則級の美味しさであり、いや、これ美味しいなあ。自宅で真似してみよう。
メインは「淡路島産鹿肉のロティ 赤ワインソース」を選択。素材の良さはさておき、完璧な火入れや堂に入ったソースの味など非常にレベルの高い調理です。ところで連れが注文した「淡路ビーフのビステッカ」も実に旨そうであり、しかもバラバラの選択であってもOKという懐の深さ。関西の皆さん、ここの厨房ちょっと凄いですよ私は見つけてしまいましたよ。
デザートはカシスのジェラート。気前の良いサイズ感であり、リコッタチーズもたっぷり。
ハーブティーで〆てごちそうさまでした。
お邪魔する前は廃校を再利用した企画モノの観光地レストラン、という斜に構えた認識だったのですが、料理のレベルは結構、いやかなり高いです。その分やはりサービスのぎこちなさが悪目立ちするのが残念。凄腕のカーポ・カメリエーレが参画すればミシュラン1~2ツ星は当選確実なポテンシャルを秘めたお店でした。
関連ランキング:イタリアン | 淡路市その他
関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
- プリンチピオ/麻布十番 ←こんなに有意義な6,800円があるか?
- カーザヴィニタリア/麻布十番 ←ゴージャスな店内と落ち着いた雰囲気。そのくせ高くない。
- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。