ラヴァンドール(RAVIN D'OR)/白金台

白金台はプラチナ通りの1本裏手に入ったところにある「ラヴァンドール(RAVIN D'OR)」。鮨屋のようなカウンター席が主力の小さなフランス料理店。
広尾「アッピア」よろしく本日の食材がプレゼンテーションされ、好みの食材を好みの調理・調味でアドリブで提供してくれるという仕組み。グループで料理を統一する必要もなく、お抱えの料理人にあれこれワガママ言い放題な楽しさがあります。

金澤勇介シェフは青森県出身。青森のホテルや神楽坂「ラリアンス」を経て渡仏し経験を積んだ後、六本木「ケンゾーエステイトワイナリー 」の料理長を経て当店を開業。
アミューズにガスパチョ。このあたりはゲストが色々指定せずともお任せで出てきます。トマトの酸味が真夏の夜の熱気にぴったり。
馬肉のタルタル。文字通りの料理なのですが率直に美味。これをそのまま8倍ぐらいのポーションにしてメインディッシュとして平らげたいほどです。
肉厚のホタテ。やはり貝は厚ければ厚いほど旨い。ジューシーなダイコンと共に魅力的な温菜でした。
サラダも出ます。たっぷり爽やかなハーブに濃密な温製のドレッシングが良く合う。内部にはマリネされた根菜が組み込まれており、私はこういう料理を毎朝食べたい。
パンはブリオッシュ。ほっくりとした食感に立ち上るバターの香り。素朴な味わいですが、全体を通してソース濃いめな芸風なので、パンはこれぐらいの立ち位置でちょうど良かった。
魚介料理はロブスターを指定。まさに王道といった調理であり、文句なしの味わいです。ヘンにオマール・ブルーに拘らずカナダ産として割り切っているのも好印象。付け合わせのカボチャのニョッキもエビの王者に負けない力強い味わいです。
メインは鴨肉。これまた正統的な調理でありひと口ひと口がドッシリとして美味しい。「素材がひとつ、ソースがひとつ、ワインが1杯」を体現する料理であり、実にフランス料理的でした。
デザートは桃を主体にサッパリと〆、ごちそうさまでした。

今回は割としっかり目に飲んだのでお会計はひとりあたり3万円弱といったところですが、ひと通りの料理にワインを3杯ほどであれば2万円を切るでしょう。腕っこきのシェフを囲って自分が食べたい素材だけを指定してこの価格設定はリーズナブル。西麻布「TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)」のテイストをより親しみやすくした雰囲気です。おひとり様でも寂しくないし、旨いもの好きなお友達と共にワイワイやるのも良いでしょう。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
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