プレミナンス(PREEMINENCE)/金沢

フランス料理界の大御所ムッシュ川本紀男が構える金沢指折りのレストラン「プレミナンス(PREEMINENCE)」。ビルまるごとがプレミナンスビルであり、同じ建屋に系列のケーキ屋や鉄板焼き屋なども入居しています。金沢駅からだと歩いて15分ぐらい。
窓が広くゴージャスな内装。なのですが、どことなく2~3世代昔のラグジュアリーであり、かなり古臭く感じます。接客も丁寧ではあるもののスタイリッシュさに欠け、途中、どこかのテーブルのお誕生日祝いで、NEWSの「Happy Birthday」を結婚披露宴の入場シーンのような爆音で流すあたり見上げた根性です。
店構えに比してワインの値付けは高めですが、たまに掘り出し物もあります。ワイン以外のアルコールやソフトドリンクも充実しており、幅広い客層に対応しているなという印象。

川本紀男シェフは石川県出身。お父様は日本料理のシェフというサラブレッド。都内や欧州で腕を磨き、LAでお店を開いたこともあるそうです。当店のオープンは1997年と金沢のフレンチとしては老舗の部類に入るでしょう。
最初に小さな温かいスープ。玉ネギとジャガイモの柔らかい味わいが活きています。フキノトウのオイルが面白いアクセントに。
アミューズは北陸の食材を多彩に。左奥のニンジンのフラン(茶碗蒸し)にウニのトッピングが美味しかったです。
パンも中々のクオリティ。ホイップバターに地元のワカメを練り込むあたり、ひょうきんな味覚です。
続く魚介は北陸では馴染み深い魚ハチメにバイ貝、甘海老など。上質な素材の美味しさはもちろんのこと、トマトをどないかしたソース(?)が醤油に似た味わいを奏でており興味深い。
鶏肉の脚に様々な部位やお米を詰め込んだもの。正直「レヴォ鶏」そのまんまなのですが、「レヴォ鶏」よりも直線的な味わいでわかり易い。ソースにへしこを起用しているのも面白かったです。
続いて鮎の塩焼きなのですが、謎に前の皿から45分も待たされ激おこです。しかもその間、店から何のフォローも無くひたすら酒を飲み続けるしかないのですが、そのせいでボトルが空いてしまっても従業員は無反応。

また、店じゅうのゲストのテンポが落ちるのであればまだ理解できるのですが、後から入ってきたゲストに我々が追い抜かれるなど進捗管理が無茶苦茶であり、この時点で完全に心が閉じました。NEWSの「Happy Birthday」を爆音で流す暇があったらさっさと調理しろ。
完全に気分が下がってしまったのでメインディッシュの記憶はありません。接待であれば完全に破談でしょう。そもそもNEWSの「Happy Birthday」を爆音で流す行為につき、従業員の誰もが「もうこういうの、やめましょうよ」と言い出せない企業風土が残念でなりません。
形ばかり美しく盛り付けられたデザートをさっさと消化し、
ミニャルディーズは全てお持ち帰りにしてもらい、とっととお店を後にしました。
退店時、シェフが上っ面だけの挨拶に訪れましたが、この日のオペレーションにつき恬として恥じることはなく、スミマセンの一言もありませんでした。青い炎がメラメラと燃え、握った拳に爪が突き刺さる。そもそもどうしてお誕生日祝いの選曲がNEWSの「Happy Birthday」なんだよぉ。思わず動画で撮ってしまったじゃないか↓
金沢フランス料理界の大御所だか何だか知りませんが、社会人として基本的なマナーを身につけていないのはいかがなものか。料理はそこそこ美味しいだけに、非常に勿体ない思いをしたランチでした。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。