森に囲まれた、どころか森の中にダイニングがあり雰囲気抜群。ハコはかなり大きく、また座席だけでなくウェイティングなどのゆとりスペースが多く設けられており、心地よい気が流れています。
菅谷伸一シェフは北海道出身。東京のレストランや札幌「モリエール(Molière)」で経験を積んだ後、渡仏。「タイユヴァン」や「ラシエット・シャンプノワーズ」、「ル・ムーラン・ドゥ・ムージャン」などレジェンドとも言える名店で腕を磨きました。
まずはヴィシソワーズ。キリっと冷たく調味は強く、ビシっと味の決まった一口です。さあ食べるぞという気にさせてくれる。ちなみに我々はニセコに滞在しており、私は運転があるため今夜はアルコールフリーでした。朝採れ塩茹でのブロッコリー。真っ白な皿にブロッコリーだけドンと置く男気。塩味だけで食べても良し、途中で味変のソースをかけても良し。美味しいですが、個人的にはスープやら何やらに調理してもらったほうが好きかもしれません。
前菜としてサラダ。うひょー、このサラダは心から素晴らしいですね。絵画のように美しいのはもちろんのこと、多種多様な野菜・ハーブのひとつひとつがいちいち美味しい。アワビのソテーやカニ、ホタテにフォアグラなどオカズ軍も奮闘しており、本日一番のお皿です。
お魚はヒラメ。ソースはトマト。先の手の込んだサラダに比べると幾分シンプルであり、個人的にはもっとややこしい料理のほうが好きかもしれません。
パンはシンプル。バターをたっぷりつけて、セルフタルティーヌとして楽しまさせて頂きました。
お口直しはミルクとエストラゴンのアイス(?)。これはお口直しと呼ぶには勿体ない美味しさであり、濃厚なミルクの風味に期待以上のハーブの爽やかさにやられました。
メインは牛ロース。肉はもちろん付け合わせまで間違いなく美味しいのですが、やや教科書的というか、今風の華はなく、めちゃくちゃ美味しい披露宴のメインディッシュという印象です。
オマケで真狩村産のお米に豚を煮たもの(?)。ハヤシライスのように親しみやすい味わいで美味しい。
デザートはイチゴ特集。こちらも先のメインディッシュと同様に、美味しくはあるのですが正統的すぎて面白味に欠ける部分がありました。
お茶菓子とハーブティーで〆。ごちそうさまでした。以上を食べ、食事だけだと1万円で税サを含めると1.2万円ほど。そこそこ飲んだら2万円弱という仕上がりでしょう。この雰囲気の中、このクオリティのフレンチを楽しんでこの支払金額はリーズナブル。料理はクラシックすぎるきらいがあり好みが分かれるところかもしれませんが、この立地・環境の素晴らしさは何物にも代えがたい。泊りでなく外来の場合は隣接する「まっかり温泉」とセットでどうぞ。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- 銀座 大石/銀座 ←自分が働くならこういう職場。
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)/西麻布 ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- ア・ニュ Shohei Shimono/広尾 ←リニューアルしてリベラルに、旨けりゃなんでもいいじゃん的に。
- ラフィナージュ(L'affinage)/銀座 ←王道中の王道。銀座とは考えられない値付け。
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも。
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理。
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人。
- アサヒナガストロノーム/日本橋 ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- エステール(ESTERRE)/大手町 ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。
- ル マルタン ペシュール(LE MARTIN PECHEUR)/吹上(名古屋) ←フランス料理という文化に対する並々ならぬ愛情を感じました。