岐阜駅の繁華街の外れ、市役所の裏側にある「開化亭(かいかてい)」。日本でトップクラスに有名な中華料理店であり、食べログでは4.19(2021年6月)にブロンズメダル獲得、百名店入りと実力のほどが伺えます。
1階はライブ感溢れる8席のみのカウンター席で、2階はグループ客向けのテーブル席。子連れOKで、空いてさえいればウォークインでの入店もOKという懐の深い店。当日予約もバンバン受けれおりローカルに愛されていることが伝わってきます。
創業者の古田等シェフは現在銀座「Furuta(フルタ)」で気炎を吐いており、「開化亭(かいかてい)」を切り盛りするのは二代目の古田貴達シェフ。とにかく手際が良く、動画の早回しを見ているかのような動きの良さに痺れます。ちなみに次男坊は予約が全く取れないフレンチ「CHIUnE(チウネ)」の古田諭史シェフ。呆れるほど才能に溢れた一家である。
席についてすぐに供される前菜。脂たっぷりのサーモンをスモークさせウニをどっさりとトッピングし実山椒の風味で整えます。シンプルな料理なのに味わいにメロディがあり、やられました。初っ端からべらぼうに旨い。
スペシャリテの「キャビアの冷製ビーフン」。カッペリーニのようなビーフンにキャビアをふんわりと混ぜ込み、仕上げにスプーンでドッサリ。「とりあえずキャビアのせときゃいいんだろ」的な雑レストランとは一線を画し、トッピングの必然性が感じられる仕様。完璧なひと皿です。ちなみに恵比寿の予約が取れない高級中華「わさ」のシェフは当店で修業したそうで、この料理をオマージュした冷製ビーフンを出しますが、当店のネガティブキャンペーンになるんじゃないかと心配が生まれるほど完成度に開きがありました。
オマール海老に黄ニラ。ざっくりとしたカットの後、片栗粉をつけて揚げているのでしょうか。ヌルサクっとした食感が印象的。海老の取り扱いや爽やかな黄ニラの風味など、どれをとっても一級品であり、食べ終わることに私の腕にはびっしりと鳥肌が張り付いていた。
フカヒレのステーキ。太い繊維の官能的な舌ざわりといったらない。上湯あんかけの味わいにも小宇宙を感じさせる複雑性があり、頭を抱えてしまうほどの美味しさです。
国産の黒アワビは肝入りのオイスターソースとチンゲンサイのクリームで頂きます。アワビの肝のむせ返るような芳香にクラクラする。クニっとした食感に多層的なソース使いがこれぞという傑作。付け合わせ蒸しパンで、文字通り拭き取って舐めるように食べつくしました。
お肉料理は金華豚。チャーシューほどの厚さでありメインディッシュとしては薄く見えるのですが、食べて驚きこの厚さがベストだったのかと妙に納得する調理および調理です。甘辛いソースも秀逸で白ごはんが欲しくなる。
〆のお食事は4種からの選択で、私は王道にチャーハンを注文。見たまんまの素朴な料理ですが、あと一口もう一口と後を引く無限の美味しさです。
連れは担々麺をチョイス。味見させて頂きましたが、唐辛子の風味が支配的で、酸味も強く感じさせるスタイルです。杏仁豆腐は一見個体のようなのですが、口に含むと蕩ける間もなくシュパっと水のように消失します。参宮橋「ボニュ(Bon.nu)」の水チョコを想起させる特殊な食体験。
マンボウ中だったのでお酒は抜きで中国茶だけ頂いて、以上を食べてひとりあたり1.8万円といったところ。ここまで究極的に美味しい中華料理を食べてこの支払い金額であればむしろ安く感じるほど。当店で修業したことを吹聴してまわる恵比寿「わさ」とは天と地ほどの差がある食後感。あー、なんか思い出し怒りしてきたぞ。
美味しかった。本当に美味しかった。国内外含め、わが心のベスト中華料理店に認定。次回はグループでお邪魔して、アラカルトで片っ端からフリーダムに色々注文してみたいな。
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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
- チャイナハウス龍口酒家(ロンコウチュウチャ)/幡ケ谷 ←東京の10,000円以下の中華だとダントツ好き
- サエキ飯店/目黒 ←切れ味抜群
- ShinoiS(シノワ)/白金台 ←めちゃ美味しいんだけれど高いんだよなあ
- 4000 Chinese Restaurant/西麻布 ←王道中の王道の中華料理ですげえ旨い
- センス(Sense)/日本橋 ←あれだけ香港に通い詰めた結果、日本の飲茶が一番とは実に複雑な心境
- 南方中華料理 南三(みなみ)/四ツ谷 ←素晴らしい、何も言うことは無い
- 蓮香(レンシャン)/白金高輪 ←日本人が一般に想像する中華料理のイメージを打破する多彩な魅力
- 中華バル 池湖(いけこ)/渋谷 ←度を越した費用対効果
- 飄香/麻布十番 ←十番のランチではトップクラス
- 紫玉蘭/麻布十番 ←税込800円は神のなせる業
- 開化亭(かいかてい)/岐阜駅 ←過剰なものは何も無く、足りないものも何も無い
- Mott 32(卅二公館)/中環(香港) ←この中華料理はちょっと東京には無い
- Lung King Heen(龍景軒)/中環(香港) ←総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワン