焼鶏ひらこ/西麻布

養鶏場で自分で育てた鶏肉を出すというファームトゥテーブルな焼鳥屋「焼鶏ひらこ」。当該鶏肉はブランド鶏として珍重されており、北九州の名店「まつ山」でも起用されていました。食べログでは3.84と高評価。
店内はカウンター10席程度のみの小さなお店。L字カウンターのみであるため、グループで訪れても3人が限度でしょう(写真はポケットコンシェルジュ公式ページより)。

高岩誠シェフは21歳から宮崎県小林市で養鶏を始め完成させたのがブランド地鶏「飛来幸鶏(ひらこどり)」。併せて飲食店を開業の後、2019年に東京へと進出。
まずは卵管お刺身。お酒は日本酒中心のペアリングでお願いしたのですが、これがかなり面白くって、日本酒はもちろんワインも出ればハイボールも出たりとアルコールが百花繚乱。チェイサー(?)としてサワーやハイボール、運が良ければ焼酎割も飲み放題という気前の良いお店です。
鶏皮。当店の焼鳥は串を打たずに炭火で素焼きするというありそうでないスタイル。種類ごとのポーションは小さいものの、かなりのレパートリーを誇るので女子受けすること間違いなし。
サラダ。当店はチキン系料理の他、サラダやズッキーニのピクルス、キュウリのお漬物(おかわりOK)なども出てくるので、意外に野菜を摂った計算となります。銀座「はっこく」のスタイルに近いものがある。
大トロ。鶏のハラミの脂ののった部分であり、噛みしめるほどにコッテリ感が滲み出る。
ちぎも。腎臓でしょうか、ギョっとする響きですがクリアな味わいであり、欧米系料理に用いても美味しそうです。
きんかん。卵の成長過程における黄身部分ですが、これはちょっと火が通りすぎていたかもしれません。個人的にはもっとレアレアなものが好き。
魚の刺身も出てきます。アカハタを肝ソースで。熟成させた日本酒と共に口中調理して至福のひととき。
なんと海老まで出てきました。鮨屋の終盤で出るそれと同クオリティであり、しっとりと美味。
焼きレバー。レバーは赤ワインで愉しむことが多いですが、ハイボールで楽しむのが当店流。ウイスキーの香ばしいかおりが良く合います。
オムレツ。卵料理はワインに合わせるに最難関と言われることが多いですが、こってりとした白ワインに合わせてグラデーションのある味わいに。
さえずり。食道の部分とのことですが、牛の内臓のような噛み応え並びに風味であり、日本酒をちびりちびりやるにちょうど良いツマミです。
胸肉たたき。清澄な味わいと思いきや、意外にも厚みがあり野性的な風味です。
コロッケはジャガイモの味覚が支配的であり、あまり鶏を感じません。他方、シェフのお父さん(?)が作られているポン酢がハッキリした味わいでポテトと良く合います。
シイタケはじっくりと炙り、傘の部分に旨味が凝縮。日本酒が旨い。
モモ。やはり美味しい。ことモモに限っては串に刺して大ぶりサイズでムシャムシャ食べたかった。
手羽の炭火焼き。こちらは肉というよりも皮ひいてはコラーゲンを楽しむ方向性です。
エンガワ。独特の食感にいつまでも続く脂の風味。さっぱりと万能なロゼが静かに寄り添います。
発酵させた胸肉。旨味が増して後を引く美味しさです。
鶏飯で少し休憩。かなり味が濃く、ご飯ものというよりもツマミという位置づけなのでしょう。
鶏豆腐。鶏の旨味がたっぷり詰まったスープが秀逸。
有終の美は卵かけご飯で飾ります。卵とはついつい黄身に目がいってしまいがちですが、飛来幸鶏の卵は白身まで美味しい。「おかわりは10杯まで無料です。これまでの記録は6杯」とのこと。私は2杯でストップ。大人である。
デザートは飛来幸鶏をたっぷり用いたプリン。期待通り濃厚な味わいで素敵な流れでのフィニッシュです。

お会計はひとりあたり2万円弱。焼鳥屋と考えれば高く感じますが、実際は酒と鶏肉のマリアージュをひたすらに突き詰める実験室のような印象。「ル クラヴィエール 有栖川」のような食後感。店主の説明を聞きながら食べて飲むに忙しいので、接待のようなおしゃべり中心の会には向かないでしょう。酒好きな女子とデートで訪れるよろし。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

それほど焼鳥に詳しいつもりは無いのですが、私のコメントが掲載されています。食べログ3.5以上の選び抜かれた名店を選抜し、お店の料理人の考えを含めて上手に整理された一冊。