林屋(はやしや)/淡路島

漁師町の岩屋で創業100年を超える鮮魚店が営む鮨店「林屋(はやしや)」。岩屋港や明石港からその日に仕入れた魚介類をお腹いっぱい食べさせてくれます。平日・週末共に常時満席であり、食べログでは百名店に選出されています。
お店は住宅街の中、車が通れない入り組んだ路地の中にあるため、レンタカーはもちろんタクシーすら入り込めないでしょう。岩屋の「みなと銀行」の前にある市営駐車場「ハーバーパーキング」に停めてから歩いて訪れるよろし。
店内はカウンター10席ほどに小上がりがいくつか。まさに大衆寿司屋といったざっかけない雰囲気であり、また、小野二郎も驚きの、目にもとまらぬスピード感でにぎりが提供されていきます。酒を楽しみながら長っ尻するような空気ではないのでお気をつけて。
まずはケンサキイカ。まさにフレッシュといった味覚であり、無色透明を目指した味わいです。
マダイ。ゴリゴリと筋肉質な歯ざわりが特長的。肉厚なので食感に強みが増す。
トロは焼肉みたいな味覚です。和牛のようにじっとり肌理の細かい脂が記憶に残りました。
ヒラメのポン酢のせ。熟成や昆布締めからは遥か遠くに位置する芸風であり、一周まわって斬新にすら感じます。
シマアジもマニッシュな味わい。ああ、この食感クセになる。
カンパチは固太りしており、豊かな脂を湛えつつも筋肉質という、ラグビー選手のようなタッチです。
車海老は熱を入れていない分、甘味は控えめ。その代わりに海老本来の旨味を強く感じることができました。
海老のお頭を焼き上げる。ドロっと流れ出るエキスの旨味が官能的。ああ、日本酒が飲みたい。
タイラギの貝柱。クリアな味わいであり1キロぐらい軽く食べれそうです。
赤ウニ。昨晩お邪魔した「こゝちよ(ここちよ)」では追加料金の時価8,500円だったので諦めましたが(850円じゃないですよ8,500円ですよ)、こうして巡り合うことができて私は嬉しい。
あなご。バリっと炙って素朴な味わい。
淡路島名産のハモはやはり美味しいですねえ。専門店の「こゝちよ(ここちよ)」に比肩する味わいであり、こんなに旨いハモの握りを出すお店は珍しいでしょう。
こちらも名産の伝助あなご。300gを超える大きく太いアナゴです。先のハモに重厚感を増したような味わいであり、食べ応え最強です。

タネの種類は少なく以上で打ち止め。まだまだ食べたかったので、同じタネをいくつかお代わりしてお会計はひとりあたり8千円弱。熟成はもちろんのこと、ヅケや昆布締めすら行わない新鮮に特化した鮨でした。江戸前原理主義の鮨ヲタにとっては眉を顰める存在かもしれませんが、私的にはありよりのあり。七尾の「幸寿し」に通じる気軽な美味しが楽しめるお店でした。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。