そんな折、古くからの友人がパソナに転職し淡路島へ移住したという連絡。おお、身近にこんなにトレンディな女子がいるなんて。でも彼女、結婚してて子供もいるんじゃなかったっけ?ネット越しに訊ねるには明らかにややこしそうな気配が感じられるので、直接淡路島に赴いて事情聴取することに。このあたりの私のフットワークはめちゃ軽です。
羽田から伊丹へと飛び、そこからレンタカーで淡路島へ。あまり意識していなかったのですが、淡路島って結構おおきな島なんですね。調べてみるとシンガポールを一回り小さくした、東京23区ほどのサイズ感だそう。それでも今回は北端の市街地を中心に滞在するので、大阪北部からは1時間強、神戸から30分でアクセスできます。
廃校を活用した観光施設に集合してランチを楽しみつつ近況報告(レストランについての紹介は別記事にて)。平たく言うと、彼女は旦那と別れてシングルマザーとして生きていくことを決意し、社宅や託児所などが充実しているパソナへの就職を決めたようです。今かなりサラっと書きましたが、そのへんの韓国ドラマが尻尾を巻いて逃げ出すほど複雑で奥行きのあるストーリー構成でした。
食後は島内をドライブ。私は淡路島随一のMICE施設「淡路夢舞台」にある「グランドニッコー淡路(旧ウェスティンホテル淡路)」に滞在しており、いったん私の車を置き、そこから彼女の車でドライブに出るのですが、「この建物の中にオフィスがあるけど、覗いてみる?」とのお誘い。おおー、行く行く、大人の社会見学だ。
ちなみに「淡路夢舞台」は安藤忠雄のグランドデザインに基づくものであり、最近では「櫻坂46(旧欅坂46)」の「BAN」という曲のMVの舞台となって話題となりました。確かに直島の「地中美術館」にテイストが似ている。それにしても、安藤建築に職場があるなど贅沢なライフスタイルである。オフィスへとお邪魔します。おー、イマドキのノマドテイストというかカフェ・レストラン風の作業場です。でも、バーカウンターがあったり帳場のレジ台があったりと、「風」を通り越してレストランそのものにも見える。「そう、もともとレストランがあったテナントをそのまま居抜きで使ってる。そのへんあまり拘りがないみたい」
続いて彼女が普段居るオフィスにも立ち寄ります。「淡路島の中にオフィスはいくつかあって、フリーアドレスというか、そのどこで働いていてもいいのね。でもあたしはこのオフィスの上の社宅に住んでるから、ここに居ることが多いかな。通勤時間1分。ふっふっふっ」てゆーかこのエクステリア、どう見ても元スーパーマーケットでしょう。
入り口に野菜が並べられており、まさにスーパーマーケットです。「あ、これは会社が農業もやってて、そこで作られたものが各オフィスで無人販売されるの。1袋100円。お、今日は大葉が良いかもしれない」
オフィスへとお邪魔します。こちらは大学のカフェテリアみたいな雰囲気ですね。それにしても騒がしい。「そりゃあもう、オフィス内に託児所があるから、仕事中にウチの子の叫び声が聞こえてくるなんて日常茶飯事。気分転換に抱っこしに行ってもいいし、静かにしてられるなら膝の上に乗せたまま仕事しててもOK」ということで、不思議なカタチで彼女のお子さんにご対面する運びとなりました。やあこんにちわ。
なるほど「オフィスに託児所を併設」のような売り文句は良く聞きますが、コチラでは併設どころか一体化しています。おねいさんがExcelでゴリゴリVLOOKUPやってる隣で子供たちがでんぐりがえしをしている。シュールである。
ここはフィットネススタジオ?オフィスの中に?「そうそう、会社からタダで習い事が提供されるの。昨日はバレエ、今日は空手、明日はブレイクダンス」待て待て待て待てブレイクダンスは幼児が人から習うものじゃないだろう。ストリートだろストリート。
「ウチの子は欲張って習い事を取り過ぎてるから、家に帰るともうグッタリ。あとはお風呂に入れて寝かしつけるだけ。シングルマザーでも子育て楽勝楽勝」え?ちょっとまって?晩御飯とかどうすんの?「ああ、それは会社から出る。昼も夜も。だから平日はほとんど家事をすることがないんだよね。お給料は大して良くないけど、そもそもお金を必要としないライフスタイルなのかもしれない」なるほど富とは心の豊かさであって、財布の中身ではないのだ。
「いろいろ福利厚生が充実してるのはもちろん良いんだけど、やっぱり似たような境遇の人が多いのが気楽でいいかな。シングルマザーだらけだから好奇や同情の眼差しなんて一切ないし、ヘンな詮索もされない。同僚がママ友だから、ママ友同士の妙な見栄の張り合いもゼロ。向き不向きはあるかもしれないけど、あたしはこのムラみたいな生活は結構やりやすいかも」なるほどこの生活様式は、狩猟民族や農耕民族などの時代のムラ社会をコンテンポラリーに進化にさせたものなのかもしれません。
「でもあたしはもうアラフォーで、さすがにこの歳で見ず知らずの離島に移住するのは勇気が要ったけどね」年齢なんて気にすることないよ。若者特有の訴求力は失ったかもしれないけど、きみは既に違った種類の魅力を手に入れつつある。少なくとも僕は二十歳の女の子ふたりとデートできてラッキーぐらいに思ってるよ。
人気の記事
- タイ料理 みもっと/目黒
- 「緊急事態宣言なんて、交通安全週間みたいなもんでしょ?」彼女は事もなげに言う。
- インスタ映えするヤクザたち
- 現役のCAに聞く、機内でCAをスマートにナンパする方法
- ファーストクラスで世界一周できたカラクリ
- meli melo (メリメロ) /すすきの(札幌)
- あるグルメな乞食の話
- イケアの倉庫で絶望し、アイケアの配送に発狂した
- モテ男は複数の予約を入れておき、当日女の子に選ばせて、後はドタキャンするのがスマートという話
- 「男におごられっぱなしの女は風俗嬢以下だ」刃物でも抜くように夫は言った。
- 某高級鮨店において港区ババァが大暴走した話。
- 日本の男は皆ロリコン。フランスと日本のレストランを比較して抱いた違和感について。
- もう疲れた。うどんが主食氏の事件について1日5回は聞かれる。
- 「東京タラレバ娘」状態に陥った女子を救うたった1つの方法
- 旦那の悪口を言う女は一生幸せになれない
- グルメブロガーの苦悩2017
- バレンタインに手作りチョコだけは勘弁して欲しい
- 「お代は結構ですから悪く書かないで下さい」とシェフに懇願された話
- 3ヶ月前にトラブった例の店からの電話が鳴り止まない
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。