ラ・ベットラ・ダ・オチアイ(LA BETTOLA da Ochiai)/東銀座

元祖「予約の取れないイタリアン」の「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ(LA BETTOLA da Ochiai)」。落合務シェフは一時代を築いた日本イタリア料理界の大御所であり、ミシュランではビブグルマン(安ウマ店)、食べログでは百名店に選出されています。
「ベットラ」とは居酒屋や食堂という意味であり、その名の通りファミレスのほうがまだ凝っているんじゃないかと思うほど、ざっかけない雰囲気の店内。本館と別館(?)があり、コロナ禍であってもその全席を昼夜2回転させる集客力には舌を巻く。
しかしながら、お水やら何やらを別棟の作業場に取りに行くために、従業員が東銀座の公道を駆け巡るという滅茶苦茶な運用であり、近年稀に見る効率の悪さです。当然に皿出しも遅く、最初の1皿が出るまでに30分、その後も料理は30分間隔というテンポの悪さ。ゲームボーイなど暇つぶしができるガジェットを持って訪れましょう。
私の前菜は「吉田牧場のモッツァレラチーズとトマトのサラダ」。3,300円のランチの前菜としては魅力的な質ならびに量であり、スピード感は無いもののは味は文句なしに美味しい。
連れは「本日の前菜の盛り合わせ」。やはり3,300円のランチの前菜としては気前のよい仕立てであり、これだけ割安に料理を出してくれるのだから、少しばかり待つのは仕方が無いかという気になってきました。
私のパスタはスペシャリテの「新鮮なウニのスパゲティ」。意外にも(失礼)茹で加減は完璧であり、支払金額を考えればかなり思い切ったウニの用途です。トマトソースと生クリームを活かしたソースは全てがウニでできているかのように錯覚するリッチな美味しさ。
連れはシラスとかカラスミとかそっち系の和っぽいパスタ。ウニと同様に高級食材を惜しみなく用いており、よく3,300円でやっていけるなあと心配になりました。
私のメインは「香味豚のカツレツ トマトとルーコラサラダ添え」。こんがりとこげ茶色に揚がった食欲をそそるカツレツ。質も定食が2千円を超えるトンカツ専門店に比肩する味わい。付け合わせのサラダもケチなレストランのサラダ量を大幅に越え、何ならこの1皿だけで立派なランチが成立するほどです。
連れはマトウダイのカツレツ。豚のカツレツと同様に思いきりの良い揚げっぷり。
くどいようですが、以上を食べ、ひとりあたり3,300円。銀座の外れとは言えこの立地と質、量を考えればお得中のお得としか言いようがありません。オペレーションについて問題があることについては既に述べましたが、これだけリーズナブルなのであれば文句は禁止。「時間がかかる店だ」と割り切って、読みたかった本でも持って、じっくりと臨みましょう。

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