ラトリエ(L'atelier)/泊(那覇)

泊から日本共産党方面へ。国道58号線沿いにあるビル2階にある「ラトリエ(L'atelier)」。沖縄県産の食材を多用したフレンチレストランであり、「おきなわ食材の店」として沖縄県より指定を受けています。
厨房に向かったカウンター席が5席ほどにテーブル席が数卓。トータルでは20席ほどでしょうか。デートにバッチリな雰囲気です。

島袋司シェフはムッシュ三國清三に師事し、沖縄食材を多用する料理人として「情熱大陸」にも取り上げられたことがあるそうです。
おまかせワイン3杯セットが3,500円とお買い得。しかも1杯目はしっかりしたシャンパーニュであり量もたっぷり。よく飲む方は5杯セットで5,000円をどうぞ。
まずはニンジンのムースにコンソメのジュレ。なのですが、具材として生の海産物がゴロゴロとぶち込まれており、フレンチ風ぜいたくユッケのような様相を呈しています。しっかりとした調味であり私好み。
バロティーヌ(鶏を巻いたやつ)には、やんばる鶏を用いています。肉だけでなくお野菜にも力強さがあります。
パンはシンプルなものなのですが、噛めば噛むほどしみじみとした味であり美味しい。全体的にソースがしっかりした芸風なので、素朴なパンと合わせて食べるにちょうど良い。
フォアグラとナスのソテー。フォアグラはふっくらとした食感で中々美味しい。白眉はナスで、トロりとした舌触りに独特の香ばしさが感じられ、主役を喰ってしまうほどの存在感でした。
キノコのスープは想像以上にキノコ味が強く濃密。濃厚なミルクの泡々のトッピングもセンスが良くヒバーチ(島胡椒)を放り込む勇気に拍手喝采。
魚はマクブー。沖縄が誇る高級魚です。なのですが、あまりに淡白すぎる味わいであり、ソースとの一体感が難しい。あんまりフランス料理向きじゃない素材なのかもしれません。
メインは西表島のイノシシをチョイス。てっきり煮込みで来るのかと思いきや、バリっと焼いての調理であり、肉そのものの野性味・逞しさが感じられ素直に美味しい。力強い赤ワインがよく合います。
デザートかチーズかを選ぶことができたので、私はチーズを選択。ピエダングロワにミモレットにブルードーヴェルニュ。沖縄できちんとしたフランス産チーズを食べるのは初めてかもしれません。これが流通の進化である。
コーヒーで〆てごちそうさまでした。

8千円のコースにイノシシの追加料金、3杯のセットに税やらでお会計はひとりあたり1.2万円ほど。おおー、同じものを東京で飲み食いすることを考えれば実にリーズナブルです。何より沖縄の食材を用いて、しかもコンテンポラリーではなくクラシックに攻めているのが良いですね。唯一無二のオキナワンフレンチ。地元の方はもちろん、県外のフランス料理通にとっても興味深いレストランと言えるでしょう。

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1年で10回沖縄を訪れることもあります。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く手がけています。
TACが世に出した一風変わった沖縄本。もはやガイドブックではなく参考書の域です。非常に情報量が多く、かつ、うまく整理されており読みやすい。大判ではないので持ち歩きやすいのも素晴らしいです。オールカラーの割に高くない。数多ある沖縄ガイドブックの中では突出した存在です。