broc 長谷川稔Lab/白金台

広尾のチーズケーキ屋「長谷川稔(はせがわみのる)」が2号店をオープン。場所は元は「カンテサンス(Quintessence)」「ティルプス(TIRPSE)」が入居していた風水の良い立地。広尾のように3年先まで予約でいっぱい、ということはなく、OMAKASEからスルっと予約できました。
入ってすぐがフランス料理である当店で、同じ建屋の奥には串揚げ屋の「串揚げPyon」が同居する二世帯住宅。かなり立派なセラーがあるのですが、それ以上にコンプライアンス意識の高いお店のようで、禁酒期間は全てのアルコールの提供を停止すると誇り高い。

柏木暢介シェフは浅草「オマージュ(Hommage)」時代に「RED U-35 2018」でシルバーエッグを受賞した実力派。
禁酒法時代なのでいきなり料理がスタートします。エゾムラサキウニにサクラダイのジュレ。ワサビやスダチのアクセントは良いのですが、ちょっとウニに臭みがあったなあ。また、シャンパーニュとフィンガーフードで人心地つく暇なく出会って4分で本番というのはやはり慣れない。百合子めー。
続いてラビオリ風のひと皿。中にはたっぷりのホタテ。正統的なブールブランソースはこれはこれで良いのですが、バリっと鮮やかに食欲を掻き立てる調味でも良かったかもしれません。
酒粕を用いたフラン。想像以上に酒粕の圧が強いものの、全体としてボンヤリとした味覚であり全然美味しくない。なるほど「長谷川稔」的な料理であり私の口には合いませんでした。
続いて「すき焼き」と題したひと皿。牛肉を軽く焼いてから一晩割下に漬け込んで、さらに当日熱を加えるらしいのですが、この肉がゴムマリのように固く筋もスジスジであり歯に挟みまくりシティ。こねくり回しすぎでタピオカエンドレスな味わい。諧謔として一笑に付すには食材が気の毒でなりません。
キンカンゼリーでお口直し。結論から申し上げるとこの次の皿からブラボーな料理が続いたので、ある意味では本当のお口直しとなりました。
トラフグ。出汁を取り米に旨味を吸わせた後、薄切りの身で米を巻き付けて焼いた白子をトッピング。これは武者震いする美味しさですねえ。白子をザックリと混ぜてトロットロのソースとして食べる愉しみといったらない。本日一番のお皿でした。
たっぷりのハーブに半熟卵。底にはざく切りのホタルイカやフキノトウが組み込まれており春の味覚がたっぷり。キャビアもとりあえず乗せたというよりは、塩気の強い調味料として意義のあるトッピングです。
アマダイ。これがもう、そのまま皿に並べてお造りとして日本料理店に出せそうなほどの質および量であり、そこに貝類の出汁のスープを注ぎ込んでしゃぶしゃぶのように頂きます。これは大至急美味しい。ちょいちょい潜んでいるミル貝の歯ごたえもバッチグー。
パスタも出ます。冷製のタリオリーニに生のタラコのようなカラスミ、木の芽、花山椒。まるでスタイリッシュなつけ麺のようであり、青臭い余韻が心地よい。
メインは鳩。大トリに直球ど真ん中のフランス料理。ムネ肉モモ肉ともにパーフェクトな美味しさであり、それだけに赤ワインが無いのが悔やまれる。百合子めー。
デザートに向かいます。まずはお口直しにと小夏のゼリーならびにグラニテ。底に敷かれたフロマージュブランと共にお口の中が整いました。
続いてイチゴ特集。濃厚でパンチのあるイチゴの味覚に、さらに深みのあるチョコレート風味のムースが下支えします。炊いたルバーブも名脇役。何より盛り付けが可愛らしい。ここ最近の欧米系レストランで食べたスイーツで最も記憶に残りました。
お茶菓子も手が込んでいて、最後の最後まできちんと美味しい。たっぷりのハーブティーと共にごちそうさまでした。

以上を食べ、炭酸水を飲んでお会計はひとりあたり3万円弱。酒抜きでこの支払金額は高いほうですが、皿数が多く、またそれぞれがしっかりとしたポーションであるため、一般的なフランス料理店の1.32倍ほどのボリューム感であることを考えると妥当な価格設定でしょう。
序盤はフランス料理なんだか日本料理なんだかよくわからない中途半端な味覚が続きましたが、途中からガラっとフレンチに寄せて来、そこからどんどんどんどん美味しくなってきました。こんなことなら妙な看板など外してしまい、シェフの感性に全てを賭け、フランス料理専業のレストランにしちゃえば良いのに。その暁には改めてディナーで訪れ、ワインのペアリングと共に楽しみたいと思います。百合子めー。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
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