鳥とみ/三軒茶屋

三軒茶屋駅から徒歩10分強の三宿エリアにある焼鳥屋「鳥とみ」。店主は「鳥しき」「鳥かど」など鶏料理の名店で腕を磨いたのですが、スペシャリテに「水炊き」を据えるという面白いコンセプトです。扱う鶏肉は鳥しきグループと同じ生産者の伊達鶏。
カウンター8席のみの小さな店内。各席に水炊き用のコンロがあるのが焼鳥屋としては珍しい。アルコールの価格設定は控えめで、ボトルのワインも5千円かそこらから楽しめます。
お通し(?)のお漬物。店主が日本料理店で修業していたこともあってか、こういった何でもないお皿がとても美味しいです当店は。
ポテトサラダも絶品。マヨネーズ主体の雑なポテトサラダとは一線を画し、品の良い調味に鶏そぼろの旨味が心地よい。
一番バッターは「ぼんじり」。美味しいのですが脂っぽくもあり、最初の第一歩としてはどうでしょう。
「はつ」はビッグサイズで心地よい弾力。鶏の心臓ってこんなデカいねんな。独特の臭みなどもなく、恐らく生前は実に健康であったに違いない。
「つくね」は粗挽き肉に軟骨を織り交ぜ、モリモリこりこりと楽しい食感です。基本的には卵黄付きのタレなつくねが好きなのですが、この1本に限ってはシンプルに肉の味推しで充分。
アスパラは瑞々しい食感。舌ざわりが滑らかで丁寧な下処理が伺えました。
これは砂肝だっけな?ザクっシャクっと歯ざわりを楽しむ逸品です。
「鶏手羽」は思いきりの良い火入れであり、バリバリに炙られた表面が香ばしい。レモンをぎゅっと絞って濃いめの肉汁をサラっと整えます。
主題の水炊き。とろとろに白濁したスープに手羽元肉やつくね等。なるほど今夜の集大成とも言うべき味わいであり、安息すら覚える美味しさです。クレソンなどのお野菜をコッテリスープで煮て、卵ですき焼き風に食べるのも乙な味。
肉や野菜が済むと、店主がサラサラっと雑炊を作ってくれます。すごい説得力。鶏のエキスってこんなに美味しいんだと目を剥くクオリティです。このスープを作り上げるまでに事前準備に数時間、煮込みに6時間という気の遠くなる作業の編輯。

お会計はひとりあたり1.3万円。これはかなり飲んだ結果であり、普通の酒量に留めれば1万円程で済むでしょう。旨い焼鳥に絶品の水炊きを食べてこの支払金額はリーズナブル。田町「水炊き鼓次郎(コジロウ)」のようにひたすら水炊きを食べ続けるのも良いですが、小鉢や焼鳥をつまみにガブガブ酒を楽しめるのが自由飲酒党の我々には嬉しかった。

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それほど焼鳥に詳しいつもりは無いのですが、私のコメントが掲載されています。食べログ3.5以上の選び抜かれた名店を選抜し、お店の料理人の考えを含めて上手に整理された一冊。