神楽坂駅から飯田橋方面とは逆サイド奥神楽坂エリアにある「ピアッティ カステリーナ(Piatti Castellina)」。「焼鳥 茜」の数軒隣に位置します。
採光の良い窓際席からズラっと並ぶクロスを張ったテーブルたち。全部で20席弱かなあ。バリバリに気取っているわけではなく程よくカジュアルな雰囲気です。
手塚大海シェフは当店のグループ店で腕を磨いた後にシチリアを始めとするイタリア各所で武者修行。帰国後に当グループに復職し、神楽坂の厨房を預かります。
食事にワインペアリングを付けて7,480円のコースを注文。ワインペアリングは3千円ほどの換算なのでしょうが、フランチャコルタを含め6杯も飲めるのは気前が良い。ソムリエも親切でノリが良くちょうど良い距離感です。
食事だけだと4千円かそこらのはずなのですが、きちんとしたアミューズから始まります。左はチーズの風味がきいたタルト生地に卵黄のクリーム(?)にグアンチャーレ(ホホ肉の生ハム)とカルボナーラ的小宇宙。右はサルシッチャ(ソーセージ)を詰め込んだ揚げたてのオリーブです。
赤海老のタルタルはサルサヴェルデ(パセリ主体ソース)で味付け。これがもう、べらぼうに旨いですねえ。いったい何匹の海老が投下されているのかと心配になるほどの甘味と旨味であり、ホイップしたリコッタチーズのいじましい酸味と良く調和します。
スペシャリテのフォアグラのフラン。どうやら当グループにおける定番の一品のようで、高級スイーツのように滑らかな舌ざわりに優しい甘味、心地よいコク。マルサラのソースやドライフルーツのアクセントも完璧。合わせて頂いたグルナッシュ主体の酒精強化ワインとも見事なシンフォニー。
パスタはリングイネの生麺にホタルイカ、スナップエンドウ。私は自宅でパスタを食べる際には好んでリングイネの乾麺を選んでいるのですが、もはや次元の違いを見せつけられた逸品です。具材はもとより麺そのものが旨い。サピエンス全史の「小麦が人類を家畜化した」という主張に大きく頷いた一皿でした。
メインはアンガスビーフのサガリ。ご覧の通りの実直な味わいでありストレートに美味しい。付け合わせのビーツは酢漬けなのかなあ、面白い形状で名脇役。
〆にトマトソースのスパゲッティをお好みの量で。これまでの料理それぞれがしっかりした量だったので100グラムで打ち止め。シンプルなポモドーロなのですが、ニンニクの風味がマスタードガスのような破壊力を持ち、思いのほかグイグイと食べさせる料理であり、ワインのツマミともなり得ます。
デザートもしっかりとしたポーション。桜をテーマにした甘味であり、桜の優しい香りが鼻腔をくすぐり、不思議と桜餅を食べているような既視感。
ハーブティーで〆てごちそうさまでした。
これだけ満腹になってワインペアリングを6種も楽しんで税サ込で7,480円というのは限界突破の費用対効果でしょう。「2万円です」って言われればハイそうですかと素直に支払うレベルの質および量。あまりに満足度が高すぎて、もう夜に来なくてもいいかと思ってしまう程です。行くけどね。
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- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
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日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。