鮨処 北の華(きたのはな)/千歳(北海道)

JR千歳駅から徒歩15分にある「北の華 はやし」、の隣にある「鮨処 北の華(きたのはな)」。前者は予約が取れない系のミシュラン2ツ星鮨店であり、後者はそのカジュアルラインという位置づけです。
店内はカウンターとお座敷でトータル30席近くあり、鮨屋としては中々の大箱です。林直司シェフは千歳市の出身。札幌の鮨屋で経験を重ねたのち、地元の千歳で「鮨処 北の華」を開業し、続いて「北の華 はやし」をオープン。
「北の華 はやし」と同じく酒が安い。ビールや焼酎などは居酒屋と変わらない価格設定であり、また、「北の華 はやし」と同様に日本酒のラインナップが充実しています。地元のお酒の飲み比べなどの企画モノもあり旅行者にはありがたい。
茶碗蒸しと吸い物のあいのこのようなお椀で内臓を温めます。旨味がはっきりしたスープがたっぷり。砂抜きが甘くジャリジャリしていたのは残念。
お造りはマツカワガレイから。淡白な色合いながら不思議とコッテリとした味覚。
続いてツブガイ。少し臭みが残るかな。先のアサリにせよ、やはりお隣とは歴然としたクオリティが感じることが多い。
煮ダコは暴力的な煮込み、ではなく、ほんのりと上品な調味。柔らかな日本酒がよく合います。
イサキ。表面を少し炙っており香ばしい口当たり。やはり日本酒に良く合う。
メジマグロはちょっと火が通りすぎて焼肉みたいになっています。生肉原理主義としてはもう少しレア目でお願いしたかった。
自家製の数の子。実家のおせち以外で食べる機会は数えるほどしかないのですが、なるほど上品な味わいです。
アンキモは低温調理でしっとりと熱を加え、甘味が増した気がしました。まさに和製フォアグラであり、本日一番のお皿です。
子持ちヤリイカの印籠詰め。アンキモに続いて濃厚な味わいであり、イカの旨味、濃密な調味が印象的。
メヒカリ一夜干し。箸休め、ではないのですが、アンキモにヤリイカとヘビー級のツマミが続いた後なので爽やかにすら感じます。
おお、天ぷらも出るんだ。そう、当店は鮨屋と見せかけてツマミが山ほど出てくるので、ある意味では鮨も出る高級居酒屋ぐらいのつもりで訪れるとちょうど良いかもしれません。他のお客さんもそんな使い方をしている雰囲気でした。
にぎりに入ります。まずは昆布締めのソイ。前言撤回、高級居酒屋なんて言ってスミマセン。にぎりもしっかり旨い。色気を感じる昆布の風味にムッチリとした食感。思わず背筋が伸びる味わいです。
ヤリイカは2枚重ねで。薄く食べ応えがないことが多いタネですが、その問題をとてもシンプルに解決したにぎりです。
ホッキ貝も美味。あまり貝に恵まれない夜だったので、この特大サイズにはおそるおそる臨んだのですが、独特の臭みもなく旨味たっぷりで大人の味わい。日本酒が進みます。
サクラマスは私の趣味にバチンとハマる味わい。濃密にして濃厚。欧米系のサーモンのわざとらしい脂とはことなり、赤い部分の味が濃い。
毛ガニの手まり寿司。小さく丸いシャリの上に毛ガニがタワー状に盛り付けられます。これはまあ、鮨というよりもカニの味がしました。
ヅケは中々しっかりした調味であり、繊細な酸味を食べさせる方向性ではなく、酒を勧めるベクトルです。
大トロは見た目ほどコッテリとはしておらず、逆にコチラで酸味を感じるほどの味わい。肉々しくて美味。
ウニも手まりで。これもまあ、鮨というよりもウニの味がしました。
ラストはアナゴ。ツメの調味が強く、やはり酒を呼ぶ仕様。酒が安く全体的に調味は濃いので、店主は酒飲みに間違いないでしょう。
お椀で胃袋の余白を埋めてごちそうさまでした。

9千円のコースに酒を2合ほど飲んでお会計は1.2万円ほど。なるほど「北の華 はやし」に比べると指摘すべき点はいくらかありますが、3割ほどは安くあがるため妥当な支払金額と言えるでしょう。いや、東京で食べることを考えればめちゃんこ安い。ハコは大きく予約も取りやすいのもすごくいい。フライト前後、または前泊のディナーにどうぞ。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。