上海雲呑 楼(しゃんはいわんたんろう)/松山(那覇)

松山のはずれ、住宅街にある雲吞専門店「上海雲呑 楼(しゃんはいわんたんろう)」。何かを誤解しているのではないかと心配になるほど優れた費用対効果を誇る「Maison de Fujii(メゾン ド フジイ)」の数軒となりです。

普段は20時ごろ~朝までといった営業スタイルであり、飲んだ帰りに「〆のワンタン」とするのがスタンダードだったそうですが、コロナ禍においては普通の夜の時間に営業していました。
まだ明るい時間帯にお邪魔したのですが、先客に1組。我々が入店した際、当該グループは普通に飲んでいたのですが、徐々にアルコールが入りヒートアップし、そのテンションは賑やかさを通り越して耳を圧するばかりである。喫煙可であり酷い香水のゲストに対しても注意しないなど、あまり香りに思い入れのないお店なのでしょう。私の気分が高津のシンカーぐらいよく落ちた瞬間です。
オリオン生は500円、オリオン瓶は600円とお店の雰囲気に見合った価格設定。隣客は「ハイボール!濃いめでね!ぎゃはははは!」と、何でもかんでも笑えてしまう沸点の低さであり、店側はその絶叫に対し特に注意するでもなく、「〇〇ちゃんも飲みなよ~」とゲストに勧められ、あろうことか一緒に酒を飲み始めて騒ぎ出すという有様です。
すぐにでも帰りたいのですが、既に料理を注文してしまったので暫しこの喧噪を我慢します。まずは「焼きワンタン」。ワンタンというよりは餃子っぽい風情。エビ入りと野菜(ナズナ?)入りの2パターンあり、やはりエビ入りが旨い。
続いて「ラー油ワンタン」。茹で上げたワンタンにザラっとしたラー油がたっぷり。下にお野菜も敷かれており、チヂミというか広島風お好み焼きというか、妙な食べ応えがありました。
「青菜炒め」はあっさりとした調味であり、量もたっぷり。野菜が不足しがちな沖縄での生活のオアシスです。
こちらは「スープワンタン」。あっさりとしつつも下味のしっかり付いたスープにワンタンがプカプカ。なるほど「〆のワンタン」としたくなる、内蔵に染み入る優しい味わいです。
「ラー油スープワンタン」でフィニッシュ。先の「スープワンタン」のスープが担々麺的スパイシーなスープに変貌を遂げ、適度な暴力性がありすこぶる旨い。完飲したかったのですが、先の1杯のスープも含めるとさすがにタプンタプンで断念。なんならライスをぶちこんでおじやにしたかった。
以上を食べ、ビールをちょろっと飲んでお会計はひとりあたり3千円弱。なるほど悪くない支払金額であり、この価格設定であれば、だんじり祭りのような騒がしさも仕方はないかと思えてきました。それでも全体として地元客がハバをきかせており、普通の会話が困難なほど喧しく、クレジットカードも使えないので、普通の観光客にとっては難しいお店でしょう。

それでも行きたいという奇特な旅行者は是非ともおひとりで。イヤフォンでアイアンメイデンでも爆音で聞きながら食事をすると良いでしょう。

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1年で10回沖縄を訪れることもあります。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く手がけています。
TACが世に出した一風変わった沖縄本。もはやガイドブックではなく参考書の域です。非常に情報量が多く、かつ、うまく整理されており読みやすい。大判ではないので持ち歩きやすいのも素晴らしいです。オールカラーの割に高くない。数多ある沖縄ガイドブックの中では突出した存在です。