リストランテ アルポルト （RISTORANTE Alporto）／西麻布

西麻布交差点から路地に入った住宅街にある「リストランテ アルポルト （RISTORANTE Alporto）」。イタリア語で「港にて」という意味。日本イタリア料理界の巨匠、片岡護シェフのお店です。
席に案内されて少し驚き、結構、いやかなり古臭い店構えの印象です。ゲストも年配者と家族連ればかりであり、超高級ファミレスというか何というか、あまりセクシーでない雰囲気。広尾「アッピア」みたいな客層です。
ワインはグラスの泡が1,600円、ボトルだとカデルボスコが8千円と、立地の割にそれほど高くありません。しかしながら周りを見渡しても誰も飲んでなかったなあ。夜だとまた雰囲気が違うのかな。お料理は「片岡シェフお勧め特別メニュー」という、1万円ぐらいのものをお願いしました。
まずは「毛蟹のサラダ仕立て グレープフルーツ添え 木苺ソース」。これはまあ、カニですね。カニの味がしました。
「人参ムース 生ウニとコンソメゼリー」はニンジンの風味が強く、濃密な生ウニの味わいにコンソメの強い旨味がベストマッチ。レンゲで山盛り食べたいほどの美味しさです。
「蛤のガーリックバター焼き」はエスカルゴ的な仕立てで間違いなく美味しいのですが、家庭料理的でもあり、1万円のランチでわざわざ食べるものかなあという気持ちの晴れなさも残りました。
パンはフォカッチャとパリジャンなのですが、いずれも水分が抜けており特にこだわりも感じられません。
「フォアグラのソテーとサフランの焼きリゾット」は素直に美味しい。フォアグラの圧がやや強めだったので、リゾット部分をおかわりしたい気分です。
パスタは「海の幸の煮込みソース フェデリーニ」。魚介類の旨味がしっかりと溶け込んで美味しいのですが、やはり家庭料理の延長でありトキメキはありません。
メインは熊本のあか牛を用いたタリオリーニ。こちらは素材の勝利とも言うべき肉とチーズの美味しさがありました。
お口直しはコーヒーゼリーにコーヒーの評価。このコーヒーが思いのほか濃厚で、お口直しどころか味蕾が制圧されるほどの存在感です。
甘味についても、これまでの料理に倣ったスタイルであり、ベーシックに美味しいのですがやはり映えない。
ハーブティーで〆てごちそうさまでした。以上を食べ、ふたりで1本飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。立地を考えればこんなもんでしょうか。味は間違いなく良いのですが、全体として2～30年前から時が止まっている趣きがあり、大衆的な高級レストランという風情があります。何事もアップデートすることは大切だ。これはしんじつである。

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