きざ㐂(きざき)/赤坂

2018年にオープンした割に新しい鮨屋「きざ㐂(きざき)」。赤坂は日本料理屋は多いものの鮨屋の印象に乏しいのでホワイトスペースかもしれません。

木﨑倫シェフは「久兵衛」グループや「鮨とかみ」などで腕を磨き28歳という若さで独立。とかみ時代には香港支店での経験も積んだそうです。
カウンター8席のみの小体なお店。その割に従業員が結構多い。また、大将の部下に対するアタリが強く、攻撃的な人間とは距離を置いて生きてきた私としては恐怖すら感じるレベルでした。飲食店の品格は一見客とスタッフに対する店主の態度で決まると私は考えているので、この時点でかなり心が閉じてしまいました。
飲み物メニューは無く適当に注文したのですが、恐らく小瓶で千円ぐらいでしょう。ちなみに大将は常連客に勧められるがままに飲みまくっていましたが、警察官や教師が同じことをしていると大きな問題になるということは指摘しておきます。あとマスクなしの大声での接客も時節柄気になる。
気を取り直して「鮪突先の手巻き寿司」。「鮨とかみ」の名物でもあり、マグロの頭の付け根の強い部分。香り高い海苔の風味と良く合う。
ランチのにぎりコースでしたが、お料理も出てきました。丸大根を優しく炊き、小柱で旨味付けしてます。おふくろの味である。
おお、いきなりトリガイがやってきました。小ぶりなサイズながら存在感抜群。ちなみにシャリは白酢と赤酢を混ぜてるのかなあ。総じて味が強く私好みです。
マコガレイと変化球が続きます。しかしながらこれが中々うまくって、噛みしめるほどに味が滲み出て来、70秒ぐらい咀嚼していたかもしれません。
スミイカ。つるんとした状貌で可愛らしく、見た目通りにチャーミングな味わいです。
カスゴは思いのほか迫力のある味わいであり、小粒ながらマッチョな美味しさ。
これはタイラギかなあ。大将が常連客との会話に夢中で解説はありませんでした。
カンヌキ。カンヌキとはサヨリの特大サイズのことで、両開きの扉の戸締りに使う閂(カンヌキ)に例えられそのように呼ばれています。なのですが、味わいとしてはあまり印象に残らず。
マグロは中トロから。脂の甘味と酸味のバランスがグッドです。
こちらはトロ。一般的な順序と異なりデクレッシェンドしていく仕立てが面白い。
赤身のヅケ。これはめちゃんこ美味しいですねえ。ごくごくシンプルな調理なはずなのに、お店や個体によってこうも異なるのかと驚きに満ちた1カンでした。
コハダは締めというか魚そのものに強い味わいがあり地味に旨い。
海老は柔らかい茹で加減であり甘味が頂点に達した瞬間に頂きます。香り高く甘味も旨味も最高潮。本日一番のにぎりでした。
アジも見た目以上にアクティブな味わい。どうもこの店は小ぶり薄色とみせかけてしっかりとした味覚で攻めてきます。
バフンウニはマッチリとした舌ざわりならびに味わい。
ハマグリがブラボー。見ようによってはグロい外観ですが、不思議と爽やかな味わいでありお花のような香りが鼻から抜けていきます。素晴らしい。
お椀は本日のタネのエキスが凝縮されたハイライトであり、和風ブイヤベースな味わい。
ホロホロに柔らかいアナゴ。よくもまあこの柔らかさで握れるものだと感心します。
玉子は長崎のカステラのような味わいであり、個人的にはもうちょっとお鮨屋さんらしい味覚の方が好き。まあ、好みは人それぞれである。

以上を食べ、ビール1本だけ飲んでお会計は1.5万円弱。質および量を考えればリーズナブルな支払金額です。美味しく割安なだけに、冒頭に記した雰囲気づくりが勿体なく感じました。これが若さというものなのかもしれません。常連と一緒に訪れたり貸し切りだったらまた印象が違うのかな。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。