「人里離れた」「山奥の」などと形容されることが多いですが、きちんと舗装された道路は通っているし、そこかしこに生活の気配は漂っているので、言うほど辺鄙な場所ではありません。「比良山荘(ひらさんそう)」的なポジションに近いかも。ただし真冬は凍結でスリップする恐れがあるのでスタッドレスタイヤが安心です。
平日と土曜日は予約を受け付けているのですが、日祝は予約不可で受付順に入店できます。公式には11時オープンですが、9:30頃から受付してくれることが多く、また、捌きたての地鶏は新鮮なうちに提供したいという矜持もあるので、準備ができ次第入店することが多いようです。我々は9:28に一番乗りで到着し、10:07に入店することができました。
案内された席には既に炭がカチカチにおこっています。この焼き台をぐるりと囲んで座布団に座るのですが、お年寄りなど足がキツめな方には簡易チェアも用意してくれます。バイトの若者たちは清潔感があり丁寧でハキハキとした対応。部活のようで気持ちよい客あしらいです。まずは刺身3点盛り。ささみ、砂ずり、砂とろの3部作。いずれもさっき絞められたばかりのベリーフレッシュなものであり爽涼な味わい。確か千円もしなかったはず。ヒャッハー!!
フラッグシップの「地鶏たれ焼き」。当店の鶏肉の全ては隣町である菊池産の「紅うどり(あこうどり)」という地鶏です。「時代の流れに呑まれることなく、冷凍技術のなかった頃のように、忘れていた本物の鮮度と旨味を思い出していただきたい」
我々が一見のド素人と見抜かれたのか、店主が我々をしっかりとマークしてくれ、焼き方につき親身に家庭教師してくれました。この主人が本当に感じの良い兄ちゃんで非常に親切。「驕り」という単語から最もかけ離れた好青年です。
味は衝撃。こんなに美味しい鶏肉は食べたことない、と言ってしまうと一気にチープに感じますが、そうとしか言いようがないほどショッキングに旨い。
「ハツ焼き」。もちろん心臓のことであり一般的には歯ごたえを楽しむ部位ですが、何とも言えないソフトな噛み応えであり透明感のある味わいです。
「せせり」は首の肉だけあってマッチョ。ゴリゴリとした食感に噛みしめるほどに滲み出る鶏の旨味。
「レバー焼き」はサラっと表面のみを30秒ほど炙って頂きます。くわー、なんて清々しい味わいなのでしょうか。これは白ワインが欲しくなる。
「せせり」は首の肉だけあってマッチョ。ゴリゴリとした食感に噛みしめるほどに滲み出る鶏の旨味。
「レバー焼き」はサラっと表面のみを30秒ほど炙って頂きます。くわー、なんて清々しい味わいなのでしょうか。これは白ワインが欲しくなる。
「ホルモン焼き」は濃密な脂にしっかりとした噛み応え、ならびにコッテリとしたタレが特長的。独特の臭みなどは一切なく、まるでポカリスエットを感じさせる爽やかな内蔵です。
お供にライスも欠かせません。白ご飯は64円で炊き込みご飯だとプラス10円とかそんな差だったので、贅沢にも炊き込みご飯を頂きました。小サイズでも一般的な定食屋の普通の大きさはあります。鶏の旨味が米にしっかりと沁みており、これだけで美味しい。地鶏の生卵は黄身と白身を混ぜ合わせるのが困難なほどの逞しさ。白ご飯でTKGにするのが王道でしょうが、私は先のホルモンと共にすき焼き風にして楽しみました。
「ささみ焼き」は生ハム?ベーコン?でササミとキュウリ、トマトを包んでおり、当店でダントツオシャレなメニューです。脂がぷっくりシールしてきたタイミングを見計らって一気呵成に頂きます。
「ぼんじり焼き」は脂がムチムチなものを想像していたのですが、ギトギトしたものを感じることはなく、むしろサクサクとあっさりした食感。これをブラインドで食べて「ぼんじり」と答えられる人はいないでしょう。
「地鶏ウインナー」も絶品。ザリザリとした筋肉質な食感に、密度の高い鶏の味。下手なステーキを食べるよりもパワフルな味わいです
「ぼんじり焼き」は脂がムチムチなものを想像していたのですが、ギトギトしたものを感じることはなく、むしろサクサクとあっさりした食感。これをブラインドで食べて「ぼんじり」と答えられる人はいないでしょう。
「地鶏ウインナー」も絶品。ザリザリとした筋肉質な食感に、密度の高い鶏の味。下手なステーキを食べるよりもパワフルな味わいです
それでもやはり「地鶏たれ焼き」は1000年に一度の味覚であった、との結論に達し、〆に「地鶏塩焼」を注文。同じ部位の塩味バージョンです。このあたりで私の焼き方・ハサミでの切り方も板についてきたようで、店主も満足気な表情。彼が炭を追加してくれ竹筒で息を吹き込みつつ、私は鶏を焼き続けるというコラボが実現し、初めての共同作業でした。
ぐったりするほど鶏肉を食べまくり、お会計はひとりあたり4千円と少し。代理でギネスブックに申請したいほどの費用対効果の良さです。都心の何万円もする焼鳥屋は反省するように。
コスパはさておき味そのものも素晴らしい。焼鳥はもちろんフランス料理やイタリアンも含めた鶏料理の中でベストに近い美味しさであり、「串打ち三年、焼き一生」という標語に疑念が生じ、「素材と鮮度が全て」で全てを片づけてしまいそうなほどの魅力がありました。
熊本の奇跡。超オススメ。大人数で訪れ、ジャンジャン飲み食いして下さい。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。