天現寺交差点すぐ近く幼稚舎の向かい「青草窠(せいそうか)」のお隣、「天現寺カフェ」の2階にある「インカント(incanto)/広尾」。港区が誇る大人のイタリアン。食べログは3.86(2021年1月)でブロンズメダルを獲得の実力店。一時期は惜しまれつつも閉店した青山「リストランテ カッパス(Ristorante káppas)」も手掛けていました。
照明が落とされた雰囲気の良い店内。テーブルが上手く配置されておりゲスト同士の視線が交錯することが無いのが良いですね。シックなカウンター席もあり、グラスワインとアラカルト、みたいな使い方でもOKとのこと。
竹石航オーナーソムリエはタリア本国のソムリエ資格を持ち、グラスワインの豊富さや魅せるワインセラーの設置など、ワインへの愛情がひしひしと伝わってきます。であるからか、ワインの値付けも良心的であり店の風格に比べるとボトルワインの値付けのスタートも控えめ。お料理に合わせたペアリングもあり、ソムリエと相談しながら決めると良いでしょう。
お通しに冷製スープ。糖度の高いカボチャにバルサミコの落ち着いた酸味が魅力的なアクセント。
シマアジのマリネ。弾力があり溌剌とした味覚のシマアジに柑橘の香りを乗せていきます。魚醤を用いて旨味を演出。量もしっかりとあって記憶に残る前菜です。
パンはシチリア風にで2種。いずれも自家製のものであり、イタリアンはフレンチに比べるとパンが弱いことが多いですが、当店のそれはパンだけでもしっかりと食わせる高品質なものでした。
スペシャリテの「チュッピン」。その日の鮮魚を炊いて濾した濃厚なスープ。お魚はキンメダイやハタなど高級魚が勢ぞろいであり、舌先で肉をザラりと感じるほどの濃密さ。人類の叡智とも言うべき美味しさです。パスタは10種類からの選択であり「ルンゲッティ」をチョイス。石臼挽きした全粒粉を用いており、ざっくりモチモチしんわりと奥行きのある麺です。ソースはシャラン鴨を用いたラグーであり、これだけで赤ワインを1杯飲めてしまいそうなほど存在感のある味わいであり、シャ乱Qもびっくりの美味しさです。
メインは仔羊のロースト。ジューシーな骨付き仔羊にたっぷりの香草、白ワインビネガーを合わせたソース。仔羊の脂が甘く、王道中の王道な味わいです。デザートにはモンテビアンコを選択。イタリア風のモンブランであり、メレンゲの圧が強いサクサクと歯ごたえを楽しむ1皿です。ヒンヤリと冷えたセミフレッド(?)も程よい大人の甘さでした。
小菓子も充実。パルミジャーノを焼き菓子にした、もはや菓子というよりか酒のツマミといったものが私のお気に入り。
ハーブティーで〆てごちそうさまでした。
一通りを食べふたりでワインを1本飲んで、お会計はひとりあたり1.7万円ほど。イタリア料理としては中々の高級ラインですが、お店の風格やサービスの良さ、落ち着いた客層、もちろん料理の質を考えれば納得の支払金額です。勝負デートや接待にも最適。大人のカッコイイお店でした。
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- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。