洋食の店 橋本/熊本市

熊本の繁華街のアーケードの脇道(?)を抜けて雰囲気のある階段を登ったところにある老舗洋食店「洋食の店 橋本」。ミシュラン1ツ星を獲得しており、食べログ百名店にも選出されています。JALのファーストクラスで当店監修のカレーが大変美味しかったので、是非一度お邪魔したいと考えていました。
お店に入り、厨房脇の通路を抜けてダイニングへ。4~6人がけのテーブルが10卓ほどあり結構広いです。ファミリーでの利用が多く、じいちゃんから孫にかけて3代にわたっての食事など実に微笑ましい。
酒の値段は安く、グラスであれば千円かそこらです。ボトルのワインも4~5千円台が主力であり、気兼ねなくアルコールに淫することができます。
我々は「カレーディナー」を注文。私と連れで異なる前菜が登場したのですが、「おふたりでシェアしながら召し上がってください~」と気楽なお店です。こちらはトマトのサラダ。自家製のカラスミがたっぷりと仕込まれており日本酒が欲しくなる。
こちらはヒラメ。弾力のあるヒラメを嚙みしめるとジンワリと旨味が湧きあがってきます。こんなに旨い魚は鮨屋でもそうそう出会えません。アワビもトッピングされており、5千円のディナーの前菜としては驚くべき気前の良さです。
野菜のスープ。飲むというよりは食べるという表現が相応しいスープであり、野菜の地の味がしみじみ伝わる優しい味覚です。
フォアグラのカツサンド。特大のフォアグラを大胆にカツとして揚げ、トーストに挟み込んでしまいました。何という自由演技。赤ワインで斎戒沐浴し、手づかみでかぶりつきます。わほ、この高揚感は筆舌に尽くしがたい。おフランス料理のように神経を配ったフォアグラも良いですが、一癖も二癖もありそうな問題児的料理も乙な味。
さて、主題のカレーが到着しました。私はオカズ(?)をフォアグラのカツサンドとして先に食べてしまったのでプレーンなままで頂きます。
連れはオカズにロースカツをチョイス。彼女は驚くべきことにコチラを半分にカットし、私にプレゼントしてくれました。sharing is caring。お前いいやつだな。
カレーは土鍋でグツグツと煮立った状態で登場。肉や野菜、果物がドロドロに煮込まれており、液状ではあるものの実に食べ応えがあります。スパイシーなカレーも美味しいですが、やはり日本人としてはこのような欧風カレー、洋食屋のカレーのほうが心に馴染む。
ライスにはバターがたっぷりきいており、レーズンやハーブがアクセントに添えられています。ふたりで1合オーバーは確実であり、馬のように食べ続ける必要があります。その様を横目に店員は「もし良かったらおかわりもございますよ?」と素敵な煽り方。
デザートもひとり1つづつ選択してシェア。こちらはアップルパイ。トップを飾る梨のアイスクリームがミャンマーのゴールデンロックを想起させます。
こちらは焼きプリン。いわゆるクレマカタラナ、クレームブリュレに似た味わいであり、濃密なバニラの風味が後を引く美味しさです。
折り目正しいコーヒーで〆てごちそうさまでした。

上記のコースにグラスを2杯飲んで、お会計はひとりあたり8千円弱。おおー、これはナイスな費用対効果ですね。てゆーか、あの前菜にフォアグラカツサンド、カレーにデザートを食べて食事だけだと6千円って安すぎじゃない?山海の珍味を心ゆくまで楽しんでこの支払金額、居心地の良さ。長年に渡って地元の方に愛される理由が良くわかりました。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。