ナオミ オオガキ(Naomi OGAKI)/宇都宮

宇都宮の中心、東武百貨店近くにある「ナオミ オオガキ(Naomi OGAKI)」。宇都宮と言えば餃子ばかりクローズアップされますが、きちんとしたフランス料理店もあるのです。
店内は気軽なビストロという雰囲気。席数は結構多く、おひとりさま向けのカウンターとテーブルがいくつかと、30人近く入れるのではなかろうか。

大垣直巳シェフは高校卒業後、プロヴァンスとアルザスで腕を磨き、帰国後は栃木が誇るスターシェフ音羽和紀に師事したのち、2014年に当店を開業。2016年には横浜に姉妹店「Vers par Naomi OGAKI」もオープンしています。
ワインの値付けはバラバラで、シャンパーニュは割高なもののローヌやアルザスのワインは悪くない価格設定。その他、ビールなどの気軽なアルコールは居酒屋価格であり、そのせいもあってかガチでフランス料理を楽しみに来ているゲストと、高級洋風居酒屋的な使い方をしている客に分かれていました。
アミューズは生牡蠣。料理というよりも材料ですが、単刀直入に旨い。牡蠣はややこしいことをせずに生で食べるのがいちばん。
続いて看板料理のパテ・アン・クルート。鶏肉主体のサッパリとしたパテをパイ生地で包み込み、ジュレやピスタチオなどを忍ばせて焼き上げます。旨い。こういう料理は家庭では作れないので嬉しくなる。
サラダと聞いていたのですが、しっかりとした手長エビがトッピングされており私得。メインとなる野菜は白菜とサラダで食べるには珍しいものなのですが、シャクっとした歯ざわりに透明感のある味わいがクセになる。
ナマのホタテにウイキョウなどで風味を与えます。冒頭の生ガキもそうですが、当店は手の込んだややこしい料理とシンプルな料理が交代ばんこに登場するのが面白い。
フロマージュ・ド・テート。出ました手の込んだややこしい料理。ブタの頭部のあらゆる部分を用いてゼリー寄せにした一見(一聞?)グロめな料理ですが、コリっとした食感やヌメっとした舌ざわりが交錯し乙な味。加えて当店では切りつけた表面を香ばしく焼いているので親しみやすい外観です。
お魚料理は甘鯛。ウロコを含めてバリっと仕上げているので歯ざわりがグッドです。ソースも質実剛健なつくりであり、これぞフランス料理と言える1皿でした。
メインディッシュはエゾジカ。クセのない部位をシンプルに焼き上げ、見た目の通りの美味しさです。サイズは50グラムかそこらかなあ。少し物足りなく感じました。
〆の炭水化物としてリゾットが出てきます。トリュフの風味がきいた濃厚なものであり、コクが強く満腹中枢が刺激されます。
デザートはイチヂクのアイスクリームに洋ナシのコンポート。このアイスは美味しいですねえ。一般的には洋ナシのアイスにイチヂクのコンポートが多数派であるところ敢えて逆に素材を配備し、また、イチヂクがこんなに濃厚なアイスクリームに化けるのかと気づきを与えてくれた1皿でした。フランス風に、食後のお茶は別料金とのことでパス。ワインと合わせて大人の甘味でした。
1万円のコース料理にビールとワインをふたりで1本飲んで、お会計はひとりあたり1.5万円ほど。東京のど真ん中で楽しんだとすれば悪くない費用対効果ですが、宇都宮でと考えればそれほどリーズナブルではないかもしれません。

また、土地柄か輩のような連中も多く、そういったゲストを取り締まる気も無さそうなので、その日の雰囲気は運次第といったところでしょう。決めるデートや接待ではなく、友人と美味しいものを食べに行く、そのような用途が適しているかもしれません。

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