ミオオルト(mioort)/那古野・四間道(名古屋)

四間道の町並み保存地区にあるイタリアン「ミオオルト(mioort)」。古い蔵を改装した建物であり雰囲気があります。紹介制だと聞いたのですが予約サイトに掲載されており普通に予約できました。
店内はカウンターが5席にテーブル席と小体な造り。ゲストの殆どは常連客であり、このあたりは紹介制の名残でしょう。

武藤建二シェフは故郷岐阜にあるイタリア料理店でそのキャリアをスタートし、イタリア本国で腕を磨きます。帰国後に岐阜市内で開業した後、2017年にこの地へと移転。「きちんと説明のできる料理」がコンセプト。
アミューズからとても凝っています。焼いた(?)パスタを土台とし、柿やお野菜、サンダニエーレ生ハムをトッピング。「美味しい、もう一口」という方のために1人あたり2ピース用意されてるのも嬉しい。
栗のパンに、玉ねぎとトウモロコシが練り込まれたフォカッチャ。愛情込めて作られたことがしっかりとわかる味覚であり、これ単体で食べても料理として成立する美味しさです。
マッシュポテトに種々のキノコを乗せ、ウズラの卵黄と白トリュフをトッピング。白トリュフの官能的な香りをマッシュポテトがキレイに受け止めます。
おばんざい的なプレゼンテーションでイタリアンツマミが並べられます。これは酒飲みにとって最高の瞬間ですねえ。シェフおひとりでこれだけの料理を仕込むのは大変だ。
キスのカルパッチョ。キスは天ぷらで食べることが殆どですが、なかなかどうして生で食べるのも乙な味です。どうしてもっと流行らないんだろう。
手打ちのラビオリ。まさにライブ、目の前でパスタマシーンを用いながらグイグイと伸ばしていき、型で抜いて具材を詰め込みます。内容物はたっぷりのリコッタチーズに名古屋コーチンの卵黄。仕上げに白トリュフをシャラっと削り、この料理を美味しくないという人はこの世に存在しないでしょう。
パスタはタリアテッレ。もちろん自家製です。シンプルな調味ですが、名古屋コーチンの肉と白レバーに深みがあり食べ応えがありました。
メインは飛騨牛の赤ワイン煮込み。ソースは黒コショウであり、脂強めの和牛ながらサッパリと頂けます。付け合わせにはブロードで炊いたサトイモを用意するなど手が込んでいる。
オマケでリゾットも用意してくれました。小気味良い食感のお米と栗の歯ざわりの競演。やはりここでも白トリュフを起用しており、その使い方も上品です。
デザートの前に梨・ピオーネ・シャインマスカットと新鮮なフルーツでお口を整え、、、
〆にリンゴのタルト、キャラメル(?)とコショウのアイスクリーム。シェフのお人柄が伝わってくる生真面目な味覚です。気づいたらお腹いっぱい。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。紹介制と聞いて若干ビビりながらの入店でしたが、客層を安定させた上で料理に集中するための仕組みだと得心。飲んで食べて2万円に届かない支払金額であり納得の費用対効果です。
他方、料理の戦力はシェフおひとりであり、その他の従業員は卵すら満足に割れないド素人。場面で余裕がない瞬間であり、オープンキッチンでもあるためそのピリついた空気が直に伝わって来るのがHSPには厳しい。貸し切りなど大らかな雰囲気でお邪魔すると良いのかもしれません。

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