四川DINING 望蜀瀘(ぼうしょくろ)/赤坂

中国での生活が長い友人が推薦する「四川DINING 望蜀瀘(ぼうしょくろ)」。「東京でもトップクラスに辛い」と誉れ高い四川料理店。赤坂の雑居ビル、天下一品の2階に入居します。
由緒正しき雑な中華料理店の雰囲気。大きなテーブルが7~8卓はあり、40席ぐらいはありそう。ホールはオバチャンがひとりでテキパキと不愛想に取り仕切ります。
エビスのビンが650円と、街の中華料理屋レベルの価格設定。サワー類などは500円を切る価格設定であり、値段を気にせずアルコールを楽しむことができます。また、お水をお願いするとポットごとテーブルに置いていってくれます。
お通しとして出される落花生と押し豆腐。料理が出来上がるまでの間、ポリポリとつまみながら酒を飲むのですが、おや、このピーナッツ、地味にビリビリと辛いじゃないか。今後の展開に向けて姿勢を正した瞬間です。
砂肝とネギ。まずは全然辛くないツマミをチョイスしたのですが大当たり。気前の良い砂肝の量に気前の良いネギの量。シンプルな塩の味付けのはずなのに、奥行きを感じます。
よだれ鶏的なものかなあ、と思いメニューからジャケ買いした一品。これが悶絶する辛さであり、先の砂肝とネギの平和な時代は何だったんだ。ブシューと吹き出す汗汗汗。開始10分で兜を脱いでしまいました。
うぎゃーピータンまで辛ぇのかよふざけんなよ。その調味があまりに辛く、ピータンそのものには甘味すら感じる刺激のコントラストが面白い。酒が進む。周りを見渡すと、どのテーブルも物凄い勢いで飲んでいる。「辛い店は皆が勝手に飲むから自動的に盛り上がる」という、合コンの鉄則を思い出しました。
海老の天ぷらを辛味とピーナッツで炒めたような料理。これは慎重に海老天のみを発掘し辛さを除いて食べれば程よい刺激でちょうど良かった。また冷静に考えると、結構な量の海老が投入されており、これで千数百円というのはお買い得かもしれません。
水煮牛肉。「水煮」とありますが、水で煮るあっさりとした料理では決してなく、唐辛子や花椒を使った辛い味付けの典型的な四川料理です。私は辛い刺激物が苦手なくせにこの料理が好きで、予定通り色んな意味で頂点に達しました。

「俺は辛い料理得意だから」と誇らしげで楽天的な気配を漂わせていた連れも、気づけば叩いたら砕けそうな硬い顔をしており、ハンカチが絞れるほどに汗をかいています。
〆はマイルドにしようと、メニューの写真では肌色をした「拌麺」を注文。メニューには辛さレベルの表記があり、この麺は辛さゼロのはずなのですが、何故か真っ赤な麺が出てきてへどもどする。これは汁なし担々麺の類かなあ。フラットに臨めば美味しそうな気配があるのですが、クールダウンのつもりの注文が真っ赤で心が折れてしまったので、このあたり記憶が曖昧です。
以上を食べ、テニサーのようにビールをガブ飲みして支払金額はひとりあたり5千円強。ぐわー、安いなあ。味についても虎ノ門「味覚」の「頂天石焼麻婆豆腐」のように辛さ一辺倒ではなく、辛さの奥には複雑な旨味があり、頭やお腹が痛くはなりつつも後を引くクセになる美味しさ。

時節柄、換気をしっかりしているを通り越して窓前回で正直寒いくらいなのですが、なぜか大汗をかいているというバグ。閉店間際になり店のオバチャンの手も空いてきたので「辛すぎだよふざけんなよ」とお茶目に絡んでみると、フフン、と鼻で笑われました。よーし今度は火鍋に挑戦しちゃうぞう。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
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