龍圓(リュウエン)/浅草

浅草、いや東京でも屈指の人気を誇る中華料理「龍圓(リュウエン)」。食べログでは3.87と高評価であり(2020年10月)、私の周りでも結構良い噂を聞くことが多い。今回はランチに予約を入れてお邪魔しました。
入店して愕然。中では大規模な飲み会が開催されていました。本来はテーブル席が5~6卓といった規模の店内ですが、この日は店の半分以上が宴会客で占められています。すげえうるさい。めちゃくちゃうるさい。しかも店員は一切注意するそぶりがないので、そういう方向性のお店なのでしょう。

栖原一之シェフは都内の上海料理店で腕を磨いた後、28歳の若さで独立。開業当時は麺主体のお店だったそうですが、徐々にモダンな調理技法を取り入れた創作中華へとシフトしたそうです。
さっそくスペシャリテのピータン豆腐。豆腐の部分はエスプーマで泡状に仕上がっており、典型的なピータン豆腐のマチエールとは違った面白さがあります。
よだれ鶏は真空パックでの低温調理。いわゆる四川料理のそれとはかけ離れたマイルドな味わいです。
舞茸の春巻きはエキス分ば多くジュワっとした食感であり、実にジューシー。
お肉料理は那須産の和牛の炒め物。牛肉って、こういう調理にするとボソボソになりがちですが、当店のそれはシルキーなタッチであり実に滑らか。肉の旨味や甘味もしっかり感じられ美味しかった。アスパラのシャッキリ感など付け合わせも見事。
蒸しスープ、と聞こえたのですが鶏肉団子が蒸してあるのかなあ?つくねとはまた違った繊細な舌触りであり、濃いめのスープに良く合います。美味しいだけにもうちょっと量が欲しいところ。
〆の食事は汁なし担々麵。そぼろ肉が入った一般的なものとは異なり、中華風パスタのような味わいです。悪くはないのですが、これは普通の汁なし担々麵で良かったかな。私は山椒がバリバリに効いた肉もりだくさんの担々麺が好きなのだ。
杏仁豆腐や優しい味わいで、まさに高級中華といった味覚です。以上、食事のコースは5千円強。どの皿も手堅く美味しいのですが、ちょっと量が少ないかなあ。どうにも物足りなくて帰り道にうっかりラーメン屋に立ち寄ったほどです。

また、客層はお世辞にも良いとは言えませんし、そういった輩を取り締まろうというお店側の姿勢も感じられませんでした。したがって、本気でこのお店を楽しみたいのであればヘッドカウントで多数派を握る必要があり、何なら貸し切りぐらいでちょうど良いでしょう。騒いだもん勝ち行儀よくしたもん負けの世界。

私はルールやマナーを守る者が損をしない社会をつくりたいと考えているので、味は良いものの私の価値観にはそぐわないお店でした。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
1,300円としてはものすごい情報量のムック。中国料理を系統ごとに分類し、たっぷりの写真をベースに詳しく解説。家庭向けのレシピも豊富で、理論と実戦がリーズナブルに得られる良本です。