ロワール(Loire)/栄(名古屋)

名古屋東急ホテルのメインダイニング「ロワール(Loire)」。名古屋東急ホテルと共にその歴史を歩んでおり、名古屋でも屈指のフランス料理店と言えるでしょう。本館2階の吹き抜けを見渡すカドにあります。
店内はテーブル席のみで40席ほどでしょうか。ゲスト同士で視線が交錯しないように工夫されたテーブル配置です。バリバリのグランドメゾンというよりは親しみやすい内装や家具。ただしサービス陣に迫力があり、ちょっとした身のこなしや会話の端々から本物を感じます。
軽めのランチだったのでグラスで済ませたのですが、グラスワインの種類が豊富、かつ、ホテルのメインダイニングとしてはそれほど高くありません。後学のためにワインリストを借りて見ておけば良かった。
鴨とフォアグラのパテ・クルート。このパテ・クルートはすげえ旨いですねえ。数種の肉や舌やレバーやらがバランスよく配合され、出汁で作ったジュレで旨味を与え、しっとりとしたパイ生地で優しく包み込む。これまでの人生で食べたパテ・クルートで一番美味しかったかもしれません。
パンは正統派のバゲット。全体を通してアジコイメの料理が続くので、これぐらいシンプルな味覚でちょうど良いのかもしれません。
プロヴァンス風お魚のスープ。エスプレッソっぽいカップにちょろっと入っているだけで、何だよすげえ量少ないじゃん、と思いきや、その濃度はまさにエスプレッソでありレンゲが浮きそうなほどの比重です。美味しい。
メインはラムを選択。ベーシックな料理ですが王道中の王道といった味わい。ソースは肉汁を用いたものであり、当たり前のことが当たり前に美味しい。可食部は少なめなので若干の物足りなさを感じましたが、いずれディナーでお邪魔してフルコースにチャレンジする際のお楽しみにしておきます。
デザートは牛乳やチョコレート(?)で炊いたお米にカシスのアイス、巨峰。米をミルクで炊くのゲゲゲと思われるかもしれませんが、フランスでは割とメジャーなデザートです。深みのある甘さに奥ゆかしいカシスの酸味、フレッシュなブドウたち。派手さはありませんが手堅い美味しさを誇る1皿でした。
お茶菓子も手抜きなし。上品な紅茶と共に頂きました。

以上を食べ、泡を1杯赤ワインを1杯飲んでお会計はひとりあたり1万円弱。悪くない価格設定、いや、ホテルのメインダイニングとしてはかなり控えめな支払金額です。雰囲気やサービス、料理や客層などどれもとってもヘビー級であり、軽挙妄動はこれを厳に慎むべしという空気が流れています。
フランス料理を食べ込んだ民にとっては一周回って新鮮とも言える質実剛健さがあるでしょう。そういう意味で、若いカップルのお誕生日祝いや女子会などにはあまりそぐわないかもしれません。接待や会食、グルメなお友達との真面目な食事にどうぞ。

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