本年もご愛読ありがとうございました。毎年恒例、年末の総仕上げとして、ベストホテルとベストレストランを3つづつ挙げることとしましょう。
【ホテル第3位】
MAGACHABARU OKINAWA(マガチャバル)/今帰仁(沖縄)
世界遺産「今帰仁城跡」近くの森の中にあるスモールラグジュアリー。東京ドーム4つ分の敷地に僅か11室のみという贅沢な空間の使い方。ハード面の素晴らしさについてはもちろんですが、ソフト面についても私好み。スタッフたちは良い意味で放っておいてくれ、必要最低限しか関わることがなく、それでいて必要な時には必要な処置を即座に対応してくれるという、私のようにコミュ障ながら結果は求める面倒な人間にとっては最高の客あしらいです。
そう、世の中のホテルやレストランは勘違いしているところが多いのですが、ゲストの皆が皆、濃厚な接客を求めているわけではなく、私のように適度に放っておいて欲しい層も少なからずいて、そのへんの距離感を上手く取るのもサービスのうちのひとつだと思います。難度はものすごく高いけれど。
【ホテル第2位】
里山十帖(さとやまじゅうじょう)/越後湯沢
雑誌「自遊人」が2014年に開業した温泉宿。とにかく「自遊人」らしく、確固とした信念を感じる宿づくりであり、素人には真似できないセンスに溢れた宿泊施設です。ここまで徹底的に哲学をはっきりさせた宿はそうありません。ただここに泊まりにくるだけの価値あり。【ホテル第1位】
ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 宜野座/沖縄
開業以来、毎年訪れていますが、やはり良いものは良い。誰が何と言っても良いホテルです。とにかく食事が良いですね。宜野座という僻地でこれだけのクオリティを維持し続けるモチベーションの高さに脱帽です。来年は長く逗留してフレンチだけでなく色んなパターンの食事を楽しんでみたいと思います。【レストラン第3位】
木山(きやま)/ 丸太町(京都)
御所南、丸太町駅から徒歩数分に位置する「木山(きやま)」。食べログ4.46でシルバーメダル獲得(2020年7月)の人気店。ミシュラン1ツ星。開業にあたって店の近所の水脈に専用の井戸を掘削してしまうという本気の和食。酒を3合飲んでお会計は2.9万円。これは何かの間違いではないかと椅子から転げ落ちそうになる費用対効果の良さです。なるほど周りのゲストがあまりお金を気にせずガンガンに飲みまくっている理由が良くわかりました。
【レストラン第2位】
銀座 大石/銀座
1位のお店のフランス料理版と言っても良いかもしれません。パワー系フレンチの最右翼「銀座 大石」。お会計は3.5万円ほど。これだけの質の多量多皿コースを食べて、それなりに飲んでこの支払金額はリーズナブル。オープンキッチンのフランス料理屋は多いですが、ここまで客にガンガン絡んでいく芸風のフレンチは斬新。大将の愛されキャラも含め、他所ではなかなか真似できない芸当でしょう。従業員同士の仲が良さそうなのも見ていて気持ち良い。自分が働くならこういう職場だなあ。
【レストラン第1位】
照寿司(てるずし)/小倉
https://www.takemachelin.com/2020/03/teruzushi.html
こういうキワモノ系のお店を褒め称えるのはちょっぴり恥ずかしい気持ちがあるのですが、楽しいのだから仕方が無い。好きです、照寿司。
https://www.takemachelin.com/2020/03/teruzushi.html
こういうキワモノ系のお店を褒め称えるのはちょっぴり恥ずかしい気持ちがあるのですが、楽しいのだから仕方が無い。好きです、照寿司。
人によってはふざけているようにしか見えないかもしれませんが、大将はアリとキリギリスのハイブリッドであり劇場型ながら熱心な研究者でもある。ゲストの心の機微に敏感でものすごく気が利き、愛くるしい。難解でシリアスな鮨業界に一石を投じる芸風であり、インスタ全盛の現代にマーケットインした上で地元の魚の美点を伝える偉大なお店。
もちろん玄人筋からすると邪道中の邪道と酷評されるかもしれませんが、私は皿の上の料理だけで飲食店を判断しているわけではなく、お店を出たあとに「いやあ、楽しかった。また来たいよね」と思わせてくれるレストランが好きなのです。当店のように。
それでは来年も変わらずお付き合いして頂ければ幸いです。それではみなさん酔いお年をお迎えください。Bon appétit !
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。