1Fこそ派手派手しい餃子屋ですが、エレベータで3Fに上がれば凛とした雰囲気。まるで銀座にある超高級和食店のような誂えです。店内はL字型カウンターのみであり10席ほどでしょうか。テーブル席などはないのでグループ客は難しく、1~2人で訪れるのがベストです。
日本酒のラインナップが良かったので、この夜はそのほどんどを日本酒で過ごしました。かなり色々飲んだのですが、総支払金額から逆算するに恐らく1合千円前後でしょう。
さっそくエースを投入、初物のイクラです。上品な調味で口の中にスルっと収まります。美味しいなあ、ジョッキで食べたいなあ。
竹のカップにはエビとオクラ、下にはイチヂクが敷かれています。サトイモ(の親戚?)や栗など季節を感じさせる味覚が盛りだくさん。
新イカはサッパリと塩で。コリコリとした歯触りにつるんとした舌触り。冒頭から一貫して季節を感じさせる食材ばかりで嬉しくなる。
塩釜のマグロ。赤身と脂のバランスが良くじっとりとした旨味を湛えています。
マナガツオの幽庵焼(だっけ?)。これまでの素朴な調味から一転して強めの味付けであり、噛みしめるほどに旨味が滲み出てきます。これは酒が進む。
鮎はじっくりと炭で炙られて登場。客はそれなりに居るというのにポンポンポーンとテンポ良く料理が出される抜群の段取り力です。
岩手県産のマツタケの小鍋。マツタケの香りの素晴らしさはもちろんのこと、お野菜もたっぷりと詰め込まれており、特に(素揚げした?)ナスの美味しさが目立ちました。
お椀は毛ガニとサツマイモでできた特大のお団子にトロみのある菊のスープ。このお団子は抜群に美味しいですねえ。アラレを纏った外皮のカリカリ感にニッチャリとしたサツマイモの食感、甲殻類の旨味。本日一番のお皿です。
煮魚は銀ダラ。味がしっかりと沁みておりやはり酒が進みます。
〆のお食事(別料金?)はクリごはん。固めに炊かれており私のタイプ。お味噌汁には魚介の風味が詰まっておりしみじみと美味しい。
ゴハンのお供セットも充実しています。ゴハンはおろかこれだけでかなり酒を呼ぶ仕様であり、どの小鉢も手抜きなく美味しかった。
桃のゼリー(?)とシャインマスカットでサッパリとフィニッシュ。ごちそうさまでした。
お会計で驚愕。なんとひとりあたり1万円を切りました。うそやんこれだけの品数と量・質さらにはマツタケまで食べ、かなり自由に日本酒を飲んでこの支払金額はブラボー。ここのところ都心の鮨・和食の暴騰に嫌気が差して極力は地方都市で食べるよう努めていたのですが、東京にも正当なお店がまだまだあるじゃないですか。超オススメ。にゃはは。
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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
- かどわき/麻布十番 ←人生で一番の和食かも。
- と村/虎ノ門 ←季節を切り取る、究極の旬を楽しむエンターテインメント。
- しのはら/銀座 ←予約困難となって当然だ。
- 温味/すすきの ←旨い!多い!安い!完全無欠の三ツ星和食店。
- 龍吟/六本木 ←モダンスパニッシュとさえ感じる前衛的な和食。外人にオススメ。
- いち太/外苑前 ←フランス料理のように多層的な味わい。
- 田がわ/御幸町(京都) ←幸村卒業。近い将来、星獲得間違いなしのリーズナブルな和食。
- 又吉/祇園(京都) ←雰囲気のある街並みに溶け込む費用対効果抜群のお店。
- カモシヤ クスモト/福島(大阪) ←独学でもトップに立ててしまうのか。
- 島之内 一陽/難波 ←カジュアル和食の最高峰。
- 和やまむら/奈良駅 ←ミシュラン3ツ星。料理が抜群に旨いガールズバー。
- 季節料理なかしま/白島(広島) ←同じくミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 日本料理 幸庵 ←こちらも費用対効果が素晴らしい。ミシュラン三ツ星って実はお買い得?