ランソレイエ(Lensoleiller)/南砺市(富山)

富山県は南砺市、桜ヶ池の畔に佇む「ランソレイエ(Lensoleiller)」。フランス帰りのシェフが地産地消をテーマに富山の僻地で気炎を吐きます。ミシュラン1ツ星。
高見敦司シェフは名古屋やアルザスで腕を磨いたのち金沢「オーベルジュぶどうの木」の料理長に。2012年に「ランソレイエ(Lensoleiller)」を立ち上げ。その後も近隣にてパン屋の「スリジェ(episerie Cerisier )」をプロデュースするなど意欲的。
私は運転があるのでノンアルコールの柚子酢のサワー。飲み物メニューはプレミアムモルツは650円とミシュラン星付きレストランとしては最安値クラス。グラスワインも千円かそこらだったので、飲めないことが余計に悔やまれます。
アミューズは梨のグラニテ。トップを飾るヌードル状の梨の下にはズワイガニがたっぷり。梨の程よい甘味にカニの旨味が良く合います。
ヴィシソワーズは液状化しておらずザラりと食感を残しており、ジャガイモの逞しい味わいを感じることができます。ところでヴィシソワーズのはずですが、トッピングにサザエやらウニやらエビやらが咲き乱れており、人生で最も贅沢なヴィシソワーズでした。右上の黒いのは肝のソースな。
サワラは少しスモークして味覚を凝縮させています。ナスのソースやピクルスの酸味など小さなな皿ながら実に構成要素が多く、また、上手く調和もしています。
パンは前述の「スリジェ(episerie Cerisier )」より。ああ、これはフランス帰りの人のパンだと肌感覚でわかる味わいです。フランスの何でもないパンって本当に美味しいんですよね。日本の何でもないゴハンが本当に美味しいように。
牡蠣と松茸。土瓶蒸しよろしく松茸などから取ったスープを注ぎ込み、香りと共に楽しみます。牡蠣にギュギュっと旨味が凝縮されており、日本酒が飲みたくなりました。
前菜は本マグロ。っていうかこれまでの皿が全てアミューズ扱いなのが笑える。マグロは酸味を上手く引き出した調味であり、プレゼンテーション含めて実に華やかな料理です。
魚はアマダイ。鱗をバリバリっと活かした調理であり、ザクザクむしゃむしゃと実に美味しい。付け合わせのリゾットも手抜き無しの味わいであり、本日一番のお皿でした。
メインは富山県産の和牛。素朴でシンプルな調理なのですが、和牛特有の脂のクドさなどは一切感じられず、しみじみ旨い。東京の脂デロデロデロイトトーマツな焼肉屋は勉強に来るように。
デザートに入ります。まずは小さな一口で、クレームブリュレに決明子(ケツメイシ、草のほうね)の風味をきかせています。まさに王道といった味わいであり、モノホンのクレームブリュレです。
メインのデザートはモンブラン。サツマイモが芯に置かれており、滋味あふれるスイーツです。ブドウやシャーベットの爽やかさも見逃せない。
小菓子とお茶を楽しんでごちそうさまでした。

お会計はコース料理が1万円にソフトドリンクやら税サやらでひとりあたり1.4万円ほど。ガチで飲んでも2万円ほどでしょう。これは都心の調子に乗ったフランス料理屋の半額程度であり、日本屈指の費用対効果を誇るでしょう。
何より世界観が素晴らしいですね。フランスの田舎のレストランをそのまま持ってきたような感性がここにはあり(フランスの名店は何故か田舎にある)、フランスそのものがここにあります。ああ、ワイン、飲みたかったなあ。何なら泊まりてえなあ。オーベルジュ化してくんねえかなあ。

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