余志屋(よしや)/先斗町(京都)

先斗町の脇道、不安になるぐらいの裏路地のどんつきに、私にとっての理想的な割烹「余志屋(よしや)」があります。この場所で60年以上営業されている老舗中の老舗。
古い店内ですが丁寧にメンテナンスされているのがよくわかります。この空間はカウンターが10席ほどに小上がりですが、2階に個室や向かいの建屋にも席があり、意外に大きなお店です。
快活で気持ちの良い客あしらいの川那辺行繁シェフは京都でも有名な料理人であり、本も数冊出版されています。他の従業員たちも皆、礼儀正しく、それでいて楽しそうに仕事をされており良い職場です。
大ビンが900円とリーズナブル。普通の中ビンだともっと安く、また、日本酒なども千円前後なので、アルコールの支払金額にそれほど気を使わなくて良いでしょう。
お通しに「焼き茄子の胡麻だれ」。丁寧に焼かれたジューシーなナスが美味。ゴマダレはクリーミーなタッチで実に濃厚。素人には真似できない美味しさがあります。
注文から数十秒で供されるお造りの盛り合わせ。今回はコース料理ではなくアラカルト注文なのに恐るべきスピード感です。お造りの提供まで数十分を要する「未在(みざい)」は反省するように。味も素晴らしい。特にイカ。ウニには湯葉を付け合わせてくれるのが嬉しかった。
「生湯葉と生麩の野菜のあんかけ」は旬の野菜に生麩とたっぷりの湯葉。ショウガのきいた上品なあんと共にアツアツアツで頂きます。素朴な料理ですがしみじみ旨い。
スペシャリテの「鴨まんじゅう」。海老芋とか山芋とかのネットリ系のイモを使っているのかあ。むっちりとした生地が美味しく鴨よりも意識が向かってしまいました。うまスギ薬局また、やはりたっぷりの出汁をきかせた餡が美味しい。
賀茂茄子の揚げ出し。やはりジューシーなナスが旨い。ただ、餡かけ3連発は私のオーダーミスだった賀茂しれません。後から知ったのですが当店にはコース料理もしっかりとあり、〆に出される釜飯が絶品ということなので、これはもう一度お邪魔しなければなりません。
食後にサービス(?)の黒糖シャーベット。品の良い甘味にジャリっとした舌ざわり。響きよりもサッパリとした味覚です。
温かいお茶で〆てごちそうさまでした。お会計で驚愕、8,200円でした。メニューに金額が記載されていないのでビビりながらの注文でしたがまさかこんなにお値打ちとは。うわー、これならもっと気前よくジャンジャン注文すれば良かった。
まさに京都といった立地であり、大将を始めとした感じの良い接客を含め素晴らしい割烹でした。アラカルトで好きなものを注文する際は「量が多いので半分にしましょうか?」など融通のきく提案をしてくれるのも嬉しい。ひとりでもグループでも使い勝手の良いお店。オススメです。

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