飛(とび)/金沢

金沢を代表する観光地、加賀藩は前田利家公を祀る「尾山神社」の近くにある「飛(とび)」。ランチは正午一斉スタートであり、正午ぴったりにならないと暖簾は掲げられないのでご注意を。
奥の方に個室があるっぽいですが、メインはカウンターの6~7席。飛地孝志シェフは野々市「太平寿し(たへいずし)」で20年以上を過ごし、日航ホテル「弁慶」を経て2016年に独立。ランチはにぎりだけの鮨屋が多い中、当店は昼からフルセットでの提供です。
酒の値付けが良心的。中ビンは7~800円であり、日本酒も1合800円~。日本酒に力を入れているのか見ごたえのあるラインナップであり、さらにオンリストされていないものもいくつかありました。
号砲はもずく酢。暑い1日だったのでサッパリとした出だしで気分上々です。
左はマハタ、上はマトウダイの昆布締め、右下はアカニシ貝。東京の鮨屋ではお目にかかれないタネが勢ぞろいです。マトウダイの昆布締めが気品あふれる味覚で美味しかった。
アジ。さっぱりとした口当たりですが、噛みしめるほどの旨味がにじみ出てきます。ツマミの量が結構多く、酒が進む進む。
マンギガイ(?)と聞こえたのですがググっても出てこなかったので、まあ、似たような語感の貝です。アナゴのタレをたっぷりと塗り分かりやすい味わいです。
サバの炙り。火に当てられた箇所が香ばしく、舌はもちろん鼻でも楽しい1品でした。
ウナギの巻物。皮、というか正肉以外の部分が多く思いきり火を入れており、凝縮感が感じられます。
甘海老はコノワタをトッピング。左党が喜ぶ仕様でありついつい日本酒へと手が伸びます。
イカはフレッシュ。陶器のようにつるりとした外観に、見た目通りの清澄な味わい。
戸井のマブロをヅケにして軽く炙りました。牛肉のように迫力のある味覚であり、ムシャムシャと食べ応え抜群。本日一番のにぎりです。
ノドグロは蒸し寿司で。「太平寿し(たへいずし)」の代名詞とも言うべき1皿であり文句なしに美味しい。シンプルに蒸しているのでノドグロ本来の味わいを楽しむことができます。
バイガイはコリコリと歯ごたえを楽しみます。貝類が結構多く、好きなのかもしれません。
中トロの鉄火巻き。先ほどとは海苔を変えており、マグロの量もガツンと増え、食べ応えがあります。モグモグモグと至福のひと時。
イクラはネットリとした食感で官能的な味覚。シャリをほんの少しだけ、イクラはいくらでもという盛り付けです。
かんぴょう巻き。派手にワサビを塗り込み刺激的な1本です。
味噌汁が旨い。具材は海苔なのですが、その一歩先に感じるのは強烈な磯の風味。たぶん色んな魚介でスープ取ってるんやろな。
玉子は「今から焼いてきます」とアラミニュットでの調理。いわゆる出汁巻き玉子であり鮨屋としては珍しい。
せっかく北陸まで来たので追加で白海老をリクエスト。海の宝石と呼ぶに相応しい輝きであり、上品な甘味にうっとり。

お会計はひとりあたり1.6万円ほど。東京では考えられない費用対効果であり、このお店を悪く言うひとはいないでしょう。小さなお店であるため予約は中々に難しく、金沢行きが決まればすぐに電話をかけたいところです。
ちなみに冒頭の「尾山神社」からは2020年夏にリニューアルオープンしたばかりの「金沢城 鼠多門」へと繋がっており、観光とセットで考えてもぴったりの鮨屋です。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。