THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS ATAMI(レストラン)/熱海

2020年はコロちゃんのせいで海外に行けないので、その予算を全て国内旅行に振り向けています。今回は週末に1泊のみで熱海。ひらまつのホテルはホテルとしては食事が圧倒的に旨いのでお気に入り。当記事はその日の夕食についてです。
ぐわー、絶景かな絶景かな。この眺望で極上のフランス料理など落ちない女はいないでしょう。もちろん泊まりで熱海で来ている時点で落ちているのかもしれませんが、それぐらいロマンティックな舞台です。
ワインは全てソムリエにお任せ。オーベルジュの美点は死ぬほど飲んだとしても、ごちそうさましてから1分後にはベッドに倒れ込める点。今夜はぶっ倒れるまで飲むぞ、を実現できる仕様です。
アミューズが凝っています。中央のミニバーガーは全粒粉のバンズに旨味の強いサバを挟み込んでおり、その辺のサバサンドが尻尾を巻いて逃げ出すほどのクオリティの高さです。シャンパーニュにもピッタリ。
トウモロコシのムースにコンソメのジュレ。おや、中央に刻みのりがふられているなと思いきや、細く刻まれたトリュフでした。脇には天城軍鶏のムネとモモの串焼きが配されており、何とも高級な焼鳥である。
ほんのりと火を通した車エビにフルーツトマトのソース、エビとトマトの間にはアボカドのタルタルが挟まっています。海老の美味しさは当然としてトマトの甘味とアボカドのクリーミーさのバランスが素晴らしい。
パンはシンプルな部類に入りますが、全体としてソースがしっかりした料理なので、これぐらいの素朴さがちょうど良いのかもしれません。
鰻の白焼きにフォアグラのポワレ、ナスのコンポート。悪くないのですが、前日に大津「う晴(うはる)」にて山ほど鰻を食べてきたばかりでありタイミングが悪かった。ナスのコンポートは面白いですね。ブラインドで食べればモモはリンゴのように思えたかもしれません。
お魚はアコウダイ。魚そのものは淡泊でプレーンな味わいなのですが、バター香る濃密なソースと脇を固める野菜たちが美味しかった。
メインは牛フィレ肉のロースト。肉の調理も赤ワインソースも王道のフランス料理といった具合であり素直に美味しい。天城山の生ワサビが添えられているのが程よいアクセントです。
お腹に余裕があったのでチーズを少し。それにしても、熱海の高台の旅館(ホテル)にフランス産チーズがこんなにも取りそろえられているとは、日本は豊かだ。
デザートは白桃のコンポートにたっぷりのグラニテ。超高級かき氷といった仕様であり、蒼井優も納得の美味しさです(蒼井優は芸能界随一のかき氷ヲタク)。
大量のミニャルディーズにハーブティで〆。ごちそうさまでした。なるほどひらまつが手掛けるだけあって、熱海いや静岡の飲食店の中でも屈指のクオリティです。なのですが、他のひらまつ系のホテルに比べると個人の色が薄く無難にまとまっているきらいがあるようにも感じました。
熱海まで来てひらまつのホテルに泊まりフランス料理とワインを楽しむだなんて、よっぽどのひらまつ好きの奇特な客ばかりなのだから、料理人はもっと冒険してもええんやで。なに、損をするのは会社ひいてはオーナーや株主だけである。無計画こそが最高の計画だ。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。