meli melo (メリメロ) /すすきの(札幌)

札幌の円山からすすきのへと移転したミシュラン1ツ星フレンチ「meli melo (メリメロ)」。オーナーシェフは函館出身であり、日仏のレストランで腕を磨いたのちに独立しました。お店は狸小路わきの雑居ビル2階に位置します。
ランチは12:00、ディナーは18:00・20:30の2部制であり、いずれも一斉スタートです。私は12:00での予約なので10分ほど前に訪れたのですが、あれ、なんか、真っ暗。ドアも開かない。何この超嫌な予感。食材の段ボール箱とか転がってるし。。。でも俺、予約サイト経由で事前決済前払いで予約しているのに。。。
しかしこれも何かの演出かもしれないと念のため12:00までは待つものの店内に人気は無く、灯が点ることもありません。ちーん。

お店に電話をかけると留守番電話のみで何処ぞへ転送されることもありません。仕方なしに予約サイトであるポケットコンシェルジュ社の代表番号に架電すると1コールで感じの良い女性の声が飛び出てきました。

手短に事情を説明すると、これからマッハで調査し10分ほどで第一報を入れるが、私の予定もあるだろうから一旦は解散してもらってもOKとの回答。10分ぐらいなら店の前で待ってみるかあとその旨お伝えし、一旦は電話を切ります。
きっかり10分後にポケットコンシェルジュ社より電話があり、全社一丸となってオーナーシェフの個人携帯やら何やらに連絡を試みているが、今のところ連絡がつかないとのこと。なので、「必ず誠実にご対応させて頂くことを約束しますので、〇〇様(私の名)のご予定もおありでしょうから、今日のところは一旦その場を離れて下さって結構です」とご案内頂きました。

この発言にはちょっと感心したなあ。正午過ぎのお昼休憩中の電話番が「必ず誠実にご対応させて頂くことを約束します」と言い切れるのは会社の姿勢として天晴れ。事態は何も変わっていませんが、ポケットコンシェルジュ社に好印象を抱いたことは確かです。
彼女の言葉を信じ、とりあえずランチは近所のスープカレー屋にお邪魔しました。今回の札幌滞在は1泊2日の強行軍であり、食事は夜昼夜と3回しかチャンスが無かったのでレストランを厳選したつもりだったのですが、その結果が千円かそこらのスープカレーとなるのはぴえんこえてぱおんです。

メリメロでのランチにはそれなりに時間がかかるだろうと予定を立てていたのにポッカリと時間が空いてしまったので、スタバでベンティサイズを注文し時間をつぶします。

15時頃にピロリンとスマホが光る。件名の無いe-mailだったのでスパムか何かかなあと思いながら開いてみると、メリメロのオーナーシェフからでした。
え!これだけ!?わざわざ東京から前金で予約している客の予定をすっぽかしておいてこのメール1通でおしまい!?それ料理人以前に社会人としてヤバくない?てゆーか日本語もヤバくない!?
ちなみにこの文章は当店の公式ウェブサイトにあるメッセージですが、「洗練されていて簡素であること」と声高に謳っています。なるほどトラブル対応も洗練されていて簡素です。
ちなみにドタキャン客からは当日キャンセルの場合100%、前日キャンセルの場合50%のキャンセル料を徴収しているようです。ちなみに私は事前決済で既にお金を支払っており、お店側から当日キャンセル(というかノーショー)されましたが、洗練されていて簡素なメール1本で全てが片付けられました。不動産業界なら手付の倍返しの事案です。

しばらくするとポケットコンシェルジュ社の担当営業から電話があり、
  • 現在LINEで連絡が取れただけで電話などは繋がらない。引き続き調査中。
  • 既にお支払い頂いている金額の返金手続きは済ませた。
  • 同様の被害者が増えないよう、一旦メリメロの予約を停止した。
との報告を受けました。なるほど確かに予約は停止されています。仕事が早い。
そういえばさっきシェフから火に油を注ぐようなメールが1本だけ届きましたよ、と、その内容を担当営業に伝えると、「そう、、、ですか、、、」と、まさにorzといった萎れた声が返って来、こちらが気の毒に思えてきました。

ある意味ではポケットコンシェルジュ社も被害者であり、私は彼らを詰めるつもりは更々ありません。とはいえ商流には御社が入っているので、その辺のスジは通してくださいね、とだけ伝えて電話は終了。担当営業は「この電話はあくまで経過報告であって、必ず誠実にご対応させて頂きます。続報をお待ち下さい」と心のこもった言葉。いい会社だなあ。
東京に戻った翌朝、民意を問うてみようとツイッターでつぶやいてみると、様々なコメントがリツイートと共に寄せられました。
ほほう、そもそもそういう芸風なのですね。だとすると、そういうお店をラインナップに加えたポケットコンシェルジュ社にも責任があるといえばあるのかもしれません。
「結局、他のツイート見てると普段からこういうことしてて、今回喧嘩売る相手間違えたっていうことなんじゃないかと思いますわ。ざまぁです」とは穏やかではありませんが、「僕がお店にお伺いした時も明らかに他の1組との扱いの差がありましたし、もう1組が遅刻しスタートが遅れたことも謝罪なしでしたから笑」という呟きから察するに、サービスに難のあるレストランなのかもしれません。接待や記念日使いには難しそうです。
なるほどクールでドライなご意見。きっとデジタルネイティブな現代っ子なのでしょう。
これはちょっと微笑ましい。
ところである筋からこういった情報提供も得ています。私が慣れぬ土地で途方に暮れ、ポケットコンシェルジュ社が対応にてんてこまいだったその時、当店のオーナーシェフは友達と遊びに行っていたとのこと。
この情報が正しいとするならば私に電話の1本ぐらい入れる時間はありそうですが、確かに楽しそうな小旅行でもあり、いま超楽しいのにたった1組の予約忘れの対応なんぞイチイチやってられなかったのかもしれません。わかる~(わからない)。

いずれにせよ、この話は本人の口から語られたわけではなく、誤解や巷談に類するものかもしれません。しかしながら、こういったゴシップがネット上に自然と流れ私の目に留まっていることを当店は真摯に受け止めるべきでしょう。

なお、その後、ポケットコンシェルジュ社からは改めてのお詫びと、再発防止のための取り組みにつき丁寧にご説明頂けました。ビジネスパーソンとしてかなりきちんとした、素敵な会社でした。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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