笠井/都立大学

都立大学駅から徒歩15分という個性的な立地のイタリアン「笠井」。一世を風靡した「CHINESE RESTRAUNTわさ」の跡地に2019年12月にオープン。
店内は「わさ」からのほぼ居抜きであり、カウンター9席のみというシンプルな構成。調理器具なども「わさ」から譲り受けているのか、大きな中華鍋でパスタを茹でるのが興味深い。お手洗いのハンドソープはイソップのボトルと見せかけて中身は違いました。

笠井篤シェフは品川「アロマクラシコ」を経て渡伊。帰国後は横浜「カンブーザ」代官山「TACUBO(タクボ)」を経て独立開業。
お料理のコースにワインのペアリングでお願いしました。ワインは全てイタリアもので統一されておりそのセンスも悪くないのですがやや量が少ない。もっと値上げして量を増やすか、大盛り別料金といった選択肢があって欲しいところです。
1番バッターはイチヂクのフリットにチーズ(?)と生ハム。これはセンスの良い1品ですねえ。イチヂクに熱が入り甘味が増し、それにハムの塩気と旨味が加わり美味。
ガスパチョはブッラータが加わり実に滑らか。どことなくマヨネーズを感じさせる独特の酸味があり興味深い味覚です。
ナスにアナゴ。悪くはないですが、うーん、やっぱ鮨屋のアナゴのほうが美味しいなあという感想を抱かせる仕上がり。私の口には合いませんでした。
他方、自家製のパン(フォカッチャ?)はべらぼうに旨い。小麦の風味が濃く、思い切り焼いておりその香ばしさも素晴らしい。ある意味で本日最も記憶に残った1品です。
焼き目をつけたイカに自家製のカラスミなど。このカラスミは美味しいですねえ。塩分は控えめながらカラスミらしい旨味はたっぷりと含まれており、どことなくフレッシュなニュアンスを持たせます。
タコのパスタ。ピリっとした風味のソースがたっぷりと細麺に絡まり素直に美味しい。
タリアテッレはボロネーゼで。これはもう、麺というよりも肉料理と評したほうが相応しいほどに肉の風味が色濃い逸品。赤ワインが進むパスタです。
メインはラム。シンプルな調理ならびに調味ですが、素材の味そのままストレートに美味しい。脂の甘味も上手く活きています。
デザートはヨーグルトのソルベ。美味しく量もたっぷりなのですが、料理に比べるとあまりにシンプルすぎるのでもうひとひねり欲しいところです。
ハーブティーで〆。ごちそうさまでした。

お会計で驚き。なんとネット経由での予約代金が徴収されていました。予約サイトに確認したところ「手数料を徴収することはご遠慮いただいている」との回答を得たのでこれは完全にクロ。これは金額の多寡の問題ではなくビジネスパーソンとしての素養を問われる問題。こういうセコい行動に出るとお客様はどのように感じるかの想像力が欠落しています。どうしても予約手数料を徴収したければ、律儀に明細に記さずに全体的な料金にまぶせばいいのに。嘘も方便。

今夜の食体験の全てが台無しになりました。こういうマインドは料理やサービスひいては店舗運営の全てに宿ります。がっかりだ。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:イタリアン | 都立大学駅


関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。