店名は「松の実」であり、なるほどお庭には黒松がデーンとその存在を主張しています。庭の雰囲気や内装など和のテイストを感じさせるつくりであり、お着物のゲストがいたり、箸がおいてあったり。サービス陣はバリバリにパーフェクトな接客であるものの居心地の良さもたっぷりという、魅力的な空気に満ちています。
アルコールは生ビールは800円、グラスワインは千円台~と、風格に比してリーズナブルと言えるでしょう。なのですが、当日は平日ランチであったためかゲストのほとんどは中高年の女子であり、皆、「水でいいです」戦略を採用していました。
まずは冷製スープ。2層構造であり、下は赤ピーマン、上はガスパチョ。紫蘇の爽やかな風味も効いており、暑い夏の1口目として最適です。
前菜は鮎。三枚におろして内蔵や背骨はペースト状にして再注入。当該ペーストの苦みがキマっており、あっさりとした鮎の身にパワーを与えています。魚介の出汁とほうじ茶のソース(スープ)やたっぷりのネギなど、やはり和を感じさせるテイストもあります。
パンは玄米パンとミルクはちみつパンの2種。それぞれ手が込んでいるのですが、少し粉っぽい感じがする割にコクに欠けるような気がして私の好みではありませんでした。割とソースがしっかりした料理が続くので、もっとシンプルなバゲットでも良かったかもしれません。
お魚料理はアズキマス(キジハタ)。関西で人気の高級魚であり、ハモと双璧をなす夏の味覚です。ホタテに似た風味の貝柱も貝の旨味がしっかりとしており、白ワイン主体のソースに良く合います。まさにブルゴーニュの白といった味わいでしょう。
メインはマグレカナール。フォアグラに用いられる鴨の身の部分であり、思いのほかクセがなくサッパリとした味わい。牛タタキやローストビーフに近い味覚であり、かなりの量ではあったのですがサクサクと頂くことができました。
デザートはココナッツのセミフレッドにレモンのクランブルなどなど。しっかりした量であり、そのへんのカフェであればこれにお茶をつけて1,600円は取れそうなクオリティです。
ハーブティーとお茶菓子で〆てごちそうさまでした。
以上、ひと通りの料理が税サ込で4,500円とぶっとび価格。この支払金額はリーズナブルを通り越して奇跡です。間違いのない料理に味のある雰囲気、完璧な接客と、およそ欠点というものが何ひとつ見当たりません。次回は夜に、最上位のコースとワインペアリングでお邪魔したいと思います。
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