石川県七尾市の和菓子屋「紅屋(べにや)」の長男として生まれた辻口博啓シェフはパティシエとして世界へと羽ばたきました。それを記念して(?)地元に建てられたのが「辻口博啓美術館」。写真の圧が強めです。
さて本題。美術館に併設されたカフェを訪れます。コロナの影響を受けてか、店内飲食組とテイクアウト組の動線が無茶苦茶であり、検温だの待ち合い名簿への記載だのケータイ電話での連絡だのでレセプショニストがメダパニ状態でした。
店内飲食組はテイクアウト組の列に割り込んでケーキをチョイスするという居心地の悪いシステムです。あまりじっくり選ぶ気にもならず、ベーシックなものをいくつか注文。前払い精算の後、座席へと案内されます。
カフェエリアにも物販の商品がハミ出しており、動線も錯綜しており実に落ち着きのない雰囲気です。JPHみたいにカフェと物販の動線をキッチリ分ければいいのに。
「クラシックショコラ」はチョコ風味の生地に生クリームをのせたベーシックなものなのですが、どうにも古臭い味覚であり「クラシック」を超越しています。
右は「シシリー」という作品で、シチリア産ピスタチオを使用した生地と能登の赤ワインを用いたフランボワーズジャムを組み合わせています。先の「クラシックショコラ」よりはマシですが、どうにも心に訴えかけてくるものに乏しい凡庸なケーキです。
左の「辻口シュー」は王道中の王道で美味。濃厚なカスタードクリームとメープル風味の生地がわかりやすい美味しさを奏でます。これで1個200円は安い。今回は注文していませんが、同じベクトルであるプリンなども良いかもしれません。
オペレーションにせよ味覚にせよ、色々とアラが目立ったおやつでした。良くも悪くもブランドが確立してしまい、スクラップ&ビルドが進んでいないのかもしれません。そういえば近年のサロショでも閑古鳥が鳴き気味であったことを思い出す。グッチみたいに新しい才能をどんどん起用していけばいいのに。関連記事
男、かつ、左党の割にスイーツも大好きです。特にチョコレートが好きですね。JPHが基準なので、スイーツの評価は厳し目かもしれません。
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難解な理論をユルいトーンで柔らかく読み解く専門書。チョコレートに係る基本的な素養から、文学や映画など芸能との関係まで解かり易く解説。ぜひチョコレートを食べながらのんびりと読んでみましょう。