蔭山樓(かげやまろう)/自由が丘

京王プラザホテルの中華部門や恵比寿「筑紫樓」の料理長などを歴任した蔭山健一シェフが独立開業した「蔭山樓(かげやまろう)」。「フレンチスタイル創作中華」を標榜する自由が丘の中華料理店です。
ランチタイムでは予約で2回転もする大人気店ですが、ディナータイムは5分の入り。つまりランチがお得すぎるという意味でしょう。恵比寿を始め系列店が都内各地にあるようなので、次はランチにしてみようっと。
お酒はそんなに高くありません。安いワインであれば3千円台ですし、ビールであれば600円~。後述しますが、かなり味付けが濃いお店なので、ガブガブお酒が進みます。
前菜は棒棒鶏。わかり易い味付けで万人受けする味わいです。ただ、なぜこの料理だけ2人でのシェアスタイルなのでしょうか。コロナなご時世、嫌がる人も多いような気がします。私は衛生面では気にしませんが、ふたりで食べると量が少ないのが嫌だ。
棒棒鶏にまだ手を付けていないにも関わらず、次の料理が出てきました。「フレンチスタイル」を掲げるのであれば、もう少しゲストの食べるペースを考えて欲しいところです。「朝採り三浦野菜の蒸野菜」とのことですが、一般的な野菜の味がしました。
エビマヨ。短く太いエビフライのような状貌のエビにマヨネーズソースがたっぷりと注がれています。棒棒鶏と同様にわかり易く暴力的な味わい。海老は食べ応えがあって二重丸。
スペシャリテの「フカヒレの姿煮込み」。5千円ほどのコース料理としてはかなりしっかりとした量です。味わいも上々。天下一品のこってりを煮詰めたような濃密な味わいであり、下に敷かれたオコゲにベストマッチ。
イトヨリダイはたっぷりのネギと共に。見た目以上に塩気が強い味付けであり、酒が進む進む。私は味濃いめ大歓迎なのですが、連れは「ちょっと食べ疲れちゃった」と塩気が厳しい様子。
〆は名物の「白湯塩そば」。鶏の手羽先肉を8時間ほど煮込んだスープとのことで、やはり塩気は強いものの奥行きのある味わいであり実に旨い。麺は浅草開化楼のものを用いており安定の美味しさ。ラーメンとして完成された1杯です。
デザートは杏仁豆腐。味は悪くないのですが硬度が高く、あまり好きなタイプではありません。私は何事もまったりとした舌触りが好きなのだ。

そこそこ飲んで、お会計はひとりあたり8千円ほど。塩気の強さについては評価が分かれるところですが、支払金額を考えればリーズナブルと言えるでしょう。ただ、どのへんが「フレンチスタイル創作中華 」なのかは不明。加えて、サービスは実にそっけなく、ホスピタリティの欠片もありません。フカヒレもある町の中華料理屋へ行く、程度のテンションで訪れると良いでしょう。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
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