店内はカウンター8席にテーブルが1卓とちょうど良いサイズ感。簡素ながらも味のある内装であり、ヘンにいやらしくもないので、初期段階のデートなどに最適でしょう。
「待った?ごめんね、シッターさんの到着が遅れちゃってさ」子供をベビーシッターに預けて他所の既婚者と飲みに行くとはとんだ不良妻である。「大丈夫?あたし、太ってない?」相変わらず魅力的だよ、マネキンにして持ち帰りたいぐらいだ。
お料理は7千円のコース1本。ワインはグラスもボトルもあるのですが、「ワインセット」といって、いくつか選択肢が与えられた中から好みのものを選ぶワイン版プリフィクスのような仕組みがありました。シャンパーニュにグラス3杯の計4杯で5千円ほどなので、かなりお得と言えるでしょう。
「そお?良かった。あたし、子供産んだときすごく太っちゃったんだけど、気合い入れてダイエットしたらすぐに痩せちゃってさ。あ、なんだダイエットって簡単じゃん、って思うようになっちゃって、最近は気軽に暴飲暴食しちゃうんだよね」
アミューズは定番の「じっくり炒めた玉ねぎのミニパイ」。オニオングラタンスープを個体にしたような味わいであり、タマネギの凝縮感が猛々しい。甘味や旨味が強く、泡のお供にピッタリです。
「この夏は子供と海とかプールに行きたいから、また仕上げなくっちゃ」もう僕には水着姿を見せてくれないのか、と軽い嫉妬を子女に覚える私。一緒に行ったことないけど。
続いてトマトのテリーヌ。糖度の高いトマトが輪切りに組み込まれており可愛らしい。酸味を湛えたゼリー部分は爽やかな味覚であり、トップを飾るブッラータのコクも上手く調和しています。
お子さん、もう海とかプール行けるんだ、大きくなったねえ。私立とか考えてないの?「ないないない!だって勿体ないじゃん。公立ならタダで行けるんだから。あたしはずっと公立だったけど、立派に育ったし」
パンは素朴ながら地味に旨い。ピカールで売られてるやつに似てる気がしました。
「子供が自分から私立に行きたいっていうならもちろん構わないけど、親が行かせたいだなんてアホのすることね。仕事から脱落した美人なだけのバカママが自己実現のために頑張っちゃうのよ、子供のお受験って」彼女は小さく鼻で笑う。
サーモンのミキュイ。素材として美味しいのですが、どの辺がミキュイなのでしょう。私にとっては完全に生に思えました。もちろん生肉原理主義者の私としては怪我の功名とも言えます。
「ママさん界の敗者復活戦ってやつ?自分ができなかったことを子供に任せるのよ。超自己中。子供にとっちゃあいい迷惑よね」しかし彼女の仮定が正しいとすると、これは大きなビジネスチャンスだなあ。人のコンプレックスにつけ込む商売ほどボロいものはない。
ウサギのバロティーヌ。ウサギのミンチ肉をさらにウサギの正肉で包み、棒状に成型した後にスライスしたものです。クセの無いクリアな肉質にマスタードソースが良く合います。
メインはアナゴとフォアグラのパイ包み焼き。鮨以外では映えない食材であるアナゴにフォアグラの重たい味覚を受け止める役割を任せるといった仕組みです。パイのコクとフォアグラの脂が溶け合い美味しかった。
〆の炭水化物にジロール茸のリゾット。キノコの旨味がじんわりと沁みており万人受けする味わいでしょう。
私の上海の友人の「私たち中国人が世界中から眉をひそめられ、迷惑に思われていることは知っている。そしてそれをコンプレックスに感じる中国人も増えてきた。なので今後、中国で伸びていくビジネスは教育だろう。科挙的学力に係る教育ではなく、教養やマナーという意味での教育」という発言はありよりのありかもしれないと思いました。今後、中国で一山あてたいと感じている方は是非どうぞ。
デザートにモモのコンポートとバニラアイスクリーム。モモがかなりゴロゴロと盛り付けられており食べ応え抜群です。ちなみに前にも述べましたが、私はTWICEではモモ推しです。
ハーブティーとお茶菓子で〆てご馳走様でした。
お会計はひとりあたり1.4万円。ワインは結構ダバダバ注いでくれたので飲みごたえがあり、個人的には満足したのですが、連れは「えー、高い」との感想。確かに料理だけで7千円に税サを含めると8千円を超えて来るという意味では、飲む人と飲まない人で印象がだいぶ異なるかもしれません。酒飲みと共にどうぞ。
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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
- ALTRO!(アルトロ) ←十番カラペティ・バトゥバ!の姉妹店。居心地最高。
- アリゴトゥール(Aligoteur Que du bonheur) ←美味しいを突き詰める旨いもの屋。
- 鍈輝(えいき) ←コロナ・テイクアウトグルメグランプリ優勝店。
- KINOE(キノエ) ←食事が割安。自由度も高い。
- ブラチェリア デリツィオーゾ イタリア(BRACERIA DELIZIOSO ITALIA) ←ランチの信じがたい費用対効果。
- CarneSio east(カルネジーオ イースト) ←なんて素晴らしい費用対効果なのでしょう。
- スブリデオ レストラーレ ←チーズ好きのカーバ神殿。
- ガストロノミー ジョエル ロブション ←やはり最強。季節ごとにお邪魔したい。
- ビストロアム ←フレンチの出オチ最強選手。
- ユーゴ・デノワイエ ←3,000円切るランチでこのレベルなら大満足。
- レストラン間 ←日本で最もカリテプリに優れたお店なんじゃないか。
- ビストロエビス ←うちの娘もああいうふうに育つと良いんだけれど。
- チャイニーズダイニング方哉(まさや) ←ランチの千円担々麺が絶品
- えびすの安兵衛 ←超行列店。高知名物「屋台餃子」を恵比寿の地で!